125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「ご…ごめんなさい、先輩」
不二先輩の姿を見つけると、あわててあたしは近寄って謝った。
「…足、どうかした?」
あたしが近寄るのを見るなり、先輩は言った。
「…え?」
(何で痛いのがわかるの?)
あたしは驚いて先輩を見た。
「うん、右足をかばって歩いてるから…。まさか、急いで転んだの?」
先輩が少し心配そうな顔をして、あたしを見つめる。
「え…と、まぁちょっと焦って歩いてたら、自転車にぶつかって…」
あたしは、さっきの出来事を説明した。
「大丈夫?僕ならいくらでも待たせて構わないんだから。次からは、例え遅れても焦らなくていいからね?」
先輩は優しく笑ってくれた。
「は…はい。ありがとうございます…」
先輩にお礼を言った…けど……次って…??
久し振りの遊園地─
お休みで天気もいいから、結構人が多い。
乗り物も、順番待ちがかなりある。
「少し休もうか?」
先輩が木陰のベンチを指して言った。
「はい」
あたしも素直にうなずいて先輩と並んで腰を下ろす。
「足どう?大丈夫?」
先輩が心配そうに聞くから、スカートの裾を少し持ち上げて膝の様子をそっと見てみた。
絆創膏に血が滲んでいる。
「痛そうだね。僕が貼り替えてあげるよ」
「え、先輩…」
恥ずかしがる間もなく、不二先輩はあたしの膝の絆創膏を貼り替えてくれた。
「すみません」
「気にしないで。少しでも七星ちゃんの役に立ちたいんだ」
くす…と先輩は笑うけど、あたしは照れまくる。
「ところで、その自転車の子、送ってくれるなんていいとこあるね」
「はい。もっとちゃんと名前だけじゃなくて、名字や住所も聞けばよかった…」
─と今さらながら思ったけど、後の祭…。偶然にでも会わない限りお礼が出来ない。…不二先輩じゃなくてこれがリョーマくんなら、絶対『アホ』って言われる。
「名前は聞いたんだ?」
「はい、偶然その子の知り合いの『観月さん』って人が『裕太くん』って呼んで…」
(…観月に裕太…?まさか…ルドルフの観月はじめに裕太なのか?)
「ね、七星ちゃん、その観月…って人、髪にウェーブかかってた?」
先輩があたしに聞いて来る。
「あ…はい、そうです。…先輩の知ってる方なんですか?」
あたしは驚いて、聞き直した。もし、先輩の知ってる人なら、お礼が出来る!
「うん…まぁね。ちょっとした顔見しり…ってとこかな」
なぜだか先輩は面白そうに、笑った。