125キロの加速 ナツのオトメ1*
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(…いつもの手塚なら、こういう場合真っ先に遠慮して、席を外していたはずなのに…)
真ん中に七星を挟み、3人で並んで帰る中、不二は考えていた。
(わかったよ、手塚。君が本気だってね…。さて…だとしたら、僕はどうしようか…。元々は越前をからかうため…。退屈しのぎには丁度いいし、刺激にもなるから…だったんだけど…本当に、手塚まで引っ掛かるなんて…予想外だよ。テニス以外で君と争う気はないしね…)
七星と手塚の会話を聞きながら、薄く目を開き不二は今後の展開をどうさせるか…と思考は続く。
(越前から七星ちゃんをかっさらうのは、愉しいだろう。ただ…それが、手塚に変わると…気が退けるんだよね)
「─なんですよ」
「ほぅ…偶然だな。テニス部の合宿も八ヶ岳だ。顧問の竜崎先生の知り合いが、ペンションをやってるそうで、テニスコートもあるっていうから、今年はそこに決まったんだ」
「ふふ…もしかしてすぐ近くだったりして?」
自分の思考を続行しながら、二人の会話に素早く滑り込む不二。
「あ、だったらいいですね。夜は一緒に星が見られますから」
嬉しそうに七星が答えると
「そうだな」
手塚の声も心なしか弾んでいるように聞こえる。
「ありがとうございました」
自宅玄関前で、わざわざ送ってくれた手塚と不二に礼を言うと、お辞儀をして七星は家に入った。
「じゃ 僕らも帰ろう。手塚」
「ああ」
「………」
「………」
無言で歩く。ただ前を見て並んで歩く。
「じゃね、手塚」
「ああ」
わずかに視線を合わせ、軽く手を振ると、そのまま右と左に分かれた。
「はぁ はふ…」
あたしは、転ばない程度に必死に早歩きした。
(何でこんな日に限って、寝坊しちゃうわけぇ?もう、自分が信じられない!)
今日は、不二先輩との約束の日─時間はもうすでにギリギリだ。
こんなことなら、先輩の携帯番号を聞いておくんだった…と焦りながら考えていたら
「わっ!よけろっ…!」
「えっ…!? きゃっ!」
《ガシャッ!》
あたしをよけて、男の子が自転車ごとひっくり返った。
「─ってーっ…」
びっくりしてあたしも転んで、膝をしこたまぶつけた。
「痛~」
「わっ!ごめん!大丈夫?」
男の子はあわてて自転車を放り出すと、あたしの所に飛んで来て起こしてくれた。
「う…うん…でも痛い」
膝は結構派手にぶつけて、少しすり剥けている。