125キロの加速 ナツのオトメ1*
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あたしもあわてて片づけると図書室を急いで出た。
(…手塚…君本気なのか…?)
手塚と七星の座っていた場所の、後ろの本棚から不二が目を見開き、驚いたような顔を覗かせると、そうつぶやいた。
放課後
今日はテニス部はお休みだ。だから、チャンス。
不二先輩にちゃんとお礼を─の一心で、あたしはまた屋上にいる。
一生懸命、下校する生徒達を見下ろしながら、不二先輩の姿を探した。
明るめの髪…いた!不二先輩だ。
あたしは、手に持っていた紙飛行機を不二先輩めがけて飛ばした。
紙飛行機はうまい具合に、先輩の足元に着地してくれた。先輩がこちらを見上げる。一瞬目が合ったので、手を振り、隣にいた菊丸先輩もこちらを見る前に、急いで頭を引っ込めた。
「あれ…?紙飛行機じゃん。それどっから来たの?」
菊丸は、上を見たり横を見たりとキョロキョロする。
「ん、あ…ごめん英二。忘れ物した。先に行ってて。ちょっと探さないと見つからないんだ、ごめんね」
「不二?」
菊丸に言うだけ言うと、不二は校舎に引き返した。
「僕を呼んでくれたの?」
屋上に現れた不二先輩は、あたしを見るといつもの笑顔で笑ってくれた。
「す…すみません!」
あたしはあわてて頭を下げた。
「どうして?」
先輩は、ちょっと小首をかしげてあたしを見た。
「あの…先日助けて頂いた時に、ちゃんとお礼が出来なかったので…」
「ああ、そんなの。もう充分だよ。当たり前のことだし…それより」
先輩は手にした紙飛行機をあたしに見せると、
「僕も今まで、色々な呼び出され方で女の子に会ったけど、紙飛行機は初めてだよ」
くす…と愉しそうに笑った。
「そうなんですか?あたしは、不二先輩にだけ振り向いて貰いたかったので、それにしたんです。でも…うまく先輩に気づいて貰えてよかった!」
照れ笑いをしたあたしだけど
「ふふ…コントロールいいね、七星ちゃん。…ね、そんなに僕にお礼をしたいの?」
不二先輩の目が、少し開いてあたしを見た…。
「あ、はい! ただ、あたし女の子らしさ…ってのがちょっと不足気味で…お菓子作ったりとか、全然だめなんで…あの…他の分野でお願いします!」
…あたし変なこと言ったかな。不二先輩、一瞬目を見開いたら、凄くおかしそうに笑った。
「七星ちゃん、君最高だよ。いいね」