125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「でもさ~やっぱ噂になっちゃったから七星ちゃん見に来てくれないね~」
フェンスの向こうのギャラリーを見て、菊丸がガッカリした顔をする。
「そう?」
ふふ…と意味深に不二が微笑んだ。
(ちゃんと見てるよ。ある場所からね…。ただ、これを君に教えるかは、別問題だよ越前)
リョーマは今、コートにいる。そこに七星がいないとわかっていてもつい、ギャラリーを見てしまう。
(…いつからあのマヌケ面を見てないんだろう…。何であいつと同じクラスじゃなかったんだろう…。同じクラスなら毎日会える…と、何考えてんだよ俺は!)
「荒れてないか?越前」
大石が聞いて来る。
「そうスか?」
タオルで汗を拭いながら、またチラリ…と視線を泳がす。
(ふふ…君の探し人は、君の上から見てるんだけどね。七星ちゃんの視線はキャッチ出来ないみたいだね)
「あ…」
あたしは、『カラマーゾフの兄弟』を図書室の棚にしまいながら、思い出した。
(手塚先輩って、やっぱ『マゾ』だわ。じゃなきゃ、こんなつまんない本を『つまらない』と言いながら読破出来やしないわ)
「ぷくく…」
おかしくって、笑いたくって、でも図書室では笑えなくって…あたしはあわててまた屋上へ行った。
「ふぅ…」
ひとしきり一人で笑ったら、ちょっとだけ虚しくなった。
(やっぱり笑う時は…誰かと一緒がいいな…)
空を見上げた。
偶然に、七星とリョーマが…。
(──!七星!?…)
空中に投げ上げたボールを、リョーマは思いっきり相手コートに叩き込んだ。
(七星だ!七星が屋上にいる…ばっか…みてー…また空見てやがる)
くす…とかすかに笑う。
(そこにいろよ。動くんじゃないぞ。俺が行くまで…)
「……」
(越前の動きが軽くなった…。さては見つけたね…?さすがだよ。これはうかうかしてられないかな。生徒会のはずの、手塚まで図書室にいたからね…)
「じゃ、お先っ!」
驚異的なスピードで帰り支度をすると、あっという間に越前リョーマはテニス部の部室を後にした。
「ひゃ~おチビ早いね」
「今までで最速の支度時間だ」
乾も感心する。
階段を一気に2段飛びする。
(まだそこにいろよ!…いろよ!)
屋上のドアを勢いよく開ける。驚いて自分を振り向く、人影があった。
ホッとして人影に近づく。
「リョーマくん?」
びっくりした顔で七星がリョーマを見た。
「もう、終わったの?部活」
「まぁね…」