125キロの加速 ナツのオトメ1*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
季節は初夏。風を取り入れるため、どの教室も廊下側の窓が全部開いている。
不二先輩に『お姫様抱っこ』されたままのあたしが、各教室前の廊下を通り過ぎるたびに、ざわめきがさざ波のように広がる…。
女生徒達が『ええ?』という顔であたしを指差す。
もうどこを向いたらいいのかわからないくらい恥ずかしいけど…足が動かない状態では『降ろして下さい』とも言えず。ただひたすら、早く保健室に着いてくれ~っ!と心の中で叫ぶのみ。
「あーっっ!不二!何やってんだよーっ!七星ちゃん、どうかしちゃったの!?」
そこは3年6組。廊下側の窓から身を乗り出し、菊丸英二が不二を指差し絶叫する。
「うん、ちょっとね」
軽くにっこりと笑うと、窓から教室内の教師に
「先生、ちょっと彼女が足を痛めましたので、保健室に連れて行きます。授業に遅れますが申し訳ありません」
サラリと言う。
「お、そうか。わかった」
教科担当教諭も相手が真面目な不二なので、全く疑問は持たない。
「じゃね、英二。ノートとっといて」
ふふ…と笑って不二先輩は6組の窓から離れた。
あたしは終始無言で、『早くこの場から立ち去って~』と願うばかり。