125キロの加速 ナツのオトメ1*
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ボトルを見た最初の印象通りの感想を述べると、その上級生はニンマリと満足気な笑みを浮かべると
「飲んでみるかい?」
と言った。
「えっ?飲み物なんですか?それっ」
あたしの声は思わず大きくなった。
てっきり絵の具を溶かした水が入ってるんだとばかり思ったから。
「俺特製の健康ドリンクだ。滋養強壮、美容効果も抜群だ。市販品で、これに優(まさ)る物はそうそうないね」
得意気に語る上級生は、心なしか嬉しそうに見える。
「よし、ちょっと来たまえ。きみ越前の彼女だろ?」
「えっ…」
まだ誤解してる人がいるの? でも、リョーマくんのこと知ってるってことは…。
「俺は乾貞治。テニス部の3年だ」
(やっぱり…)
あたしは乾先輩が歩き出したので、仕方なくついて行く形で先輩の背中に聞いた。
「あの…どちらへ?」
「部室だ」
「─部室…?」
テニス部の部室(しかも男子の)に、まさか入るなんて思ってもみなかった。
昼休みだから、部員は誰もいない。
「ちょっと待ってて」
乾先輩に言われ、イスに腰かけると 室内を見回してみた。
色んな物が置いてある。
(わ…優勝カップやトロフィーがたくさん…。青学のテニス部って強いんだ…)
「どうぞ」
いきなり目の前に紙コップが差し出された。中身は、さっきあたしが褒めた空色ドリンク…。
「……」
乾先輩の期待を込めた眼差しが、痛いほど突き刺さるので恐る恐るコップに口をつける。
「あれ…」
意外に美味しいかも。
もうひと口飲んでみる。
「うん、美味しいです」
にっこりして 乾先輩を見上げると
「そうか…」
眼鏡が反射して目の表情は わからないんだけど、優しく笑ってくれた。