125キロの加速 ナツのオトメ2*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ほな、青学のテニス部も来てるん?」
忍足さんは、探るような感じであたしに聞いてきた。
「え…何でわかるんですか…」
あたしは、ちょっとびっくりした。
「ん~…手塚なら、日程合わせそうな感じやしな…」
忍足さんは、少しだけ考え込むようにすると独り言のようにつぶやいた。
「…先に行くぜ、忍足」
しびれを切らしたのか、跡部さんは、ひと言言うと忍足さんを抜いて歩き出した。
「あ、ほんじゃまたな~七星ちゃん。いつでも氷帝に来たってや」
焦ってあたしに言うと
「待たんか、跡部~!」
あわてて跡部さんを追い掛けて行った。
(行きませんよ、氷帝なんて…)
二人の姿が見えなくなったので、ホッとしたあたしは、もうサイクリングではこっちに来ない…と心に誓った。
自転車の向きを変えて帰ろう…としたら何人かのサイクリンググループとすれ違い、その中の一人に不意に声をかけられた。
「七星さん…?」
驚いたようにその人は、自転車を止めて振り向いた。
「はい?」
あたしも振り返って─
固まった…。
「日吉?」
「あ、先に行っててくれ。知り合いなんだ」
「わかった。じゃな」
仲間の人達はそう言うと、先に行ってしまった。
(…氷帝って全校で林間学校するの…? あの…どうせならモンブランとかキリマンジャロにでも、行ってくれませんか)
「七星さんも来てたんだ」
日吉さんは、嬉しそうに言うとあたしに近づいてきた。
(…同じ自転車だから振り切って逃げるわけにもいかないし…)
「どこへ行くんだ?」
日吉さんはあたしに並ぶとそう言った。
「あ…か…帰るところなんです。あの…合宿なんで…急ぎますので失礼します」
あたしは、なるだけ波風立てないような言い回しをして、日吉さんから離れようとした。
「それなら俺が合宿所まで送る」
にこやかに日吉さんは言って、さらに近づいて来る。
(困ったな…)
「あの…でも、林間学校の場所とは正反対ですから、そんな…悪いですし、一人で大丈夫です」
あたしは、必死に断ろうとした。
「…なぜ林間学校って知ってるんだ?」
疑問を顔に出して、あたしに聞いた。
「あ、さっき忍足さんと跡部さんに会って…」
「部長に?…そうか…まぁ、いいや…それは。行こう、真っ直ぐでいいのか?」
気にせず日吉さんは、あたしと並ぶ。