125キロの加速 ナツのオトメ5
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一応、優勝の報告は手塚先輩へも会場にいるその場で送った。
『そうか、やったか』
短い文の中に手塚先輩の喜びが伝わって来た。
どうやら手塚先輩への報告はあたしが一番だったらしい。
そりゃレギュラーも部員も皆、王者立海を倒して優勝した興奮でいっぱいだもんね。
それに、テレビや雑誌のインタビューもたくさん来てるみたい。リョーマくんも囲まれてる。
(帰る約束してるけど、大丈夫かな)
あたしはまた千石さんに見つからないように、先手を打って観覧席から一目散に離れた。
そして、選手が出てくるのがわかる場所でこっそり待つ事にした。もちろんリョーマくんには連絡は入れてある。
じゃないと、またアホとか文句言われそうだし。
観戦に来ていた色んな学校の生徒に紛れて氷帝のメンバーもいるのが見えた。
(跡部さん……)
そう言えば、初日の試合のあと幸村さんの病院へ行って以来跡部さんからの連絡は一切ない。
仲間と話す様子を見る限り、普段と変わらないようにも感じる。
でも、いつもの自信に溢れた輝かんばかりのオーラが全然足りない。
関東から全国へ行ける切符は六枚。
春菜の言葉を思い出す。
切符を貰える六校の中に氷帝はなかった。
跡部さんに優勝の報告は出来ないし、励ましも慰めも言えない。
「はあ……」
座っているベンチからため息と一緒に空を見上げた。
夏の空はどこまでも青くて眩しい。
真っ白い雲もひときわ目立つ。
「空は悩みなんてないよね」
少し愚痴った。
「空は空で衛星が勝手に落ちて来て困るとか隕石が来たら嫌だな、とか思ってるかもよ」