125キロの加速 ナツのオトメ5
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「今頃手塚は空の上かにゃ」
関東大会二回戦の会場で手を額にかざした菊丸は、青空にまぶしそうに目を細めた。
「うん、もう飛んでる頃だろうね」
不二も、菊丸と同じように雲のない空を見上げた。
「わあ、風が気持ちいい」
手塚先輩を搭乗口で見送ったあと、あたしは展望デッキへ足を向けた。
離陸を待つ飛行機が行儀よく順番に並び、次々と滑走路から飛び立って行く様はずっと見ていても飽きない。
でも、どれが先輩の乗っている飛行機か全然わからない。
「飛行機がまさか電車並みに分刻みで出発するものだとは……」
まったく思ってもみなかった。
先輩から聞いた出発時刻に合う航空会社の飛行機を多分それだ、いうことにして、あたしはデッキから目で追った。
飛行機は滑走路に入ると徐々にスピードを増し、ふっと浮き上がると車輪をたたみ、一気に空へと飛び出した。
後ろからはもう次の飛行機が滑走路に入って来ている。
デッキに海風が流れる。
あたしはその飛行機が完全に見えなくなるまでずっと追い続けた。
夏休みだからか周りは子ども連れが多く、たくさんの家族が見送ったり出迎えたり、あるいは機内の住人となり、遠くの家族の元へと飛び立つのだろうな、と思った。
手塚先輩を見送ったせいか、自分も飛行機に乗って旅に出たくなってしまった。
「考えたら、あたしってまだ一度も飛行機乗ったことないし」
次々と離陸する飛行機を眺めながら、乗っている家族連れが急に羨ましくなってしまった。