125キロの加速 ナツのオトメ5
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「え……? 九州、ですか?」
「ああ」
その話しはゆっくりと歩き出して間もなく、唐突に出された。
「この、肩と肘の治療を急ぎたい」
手塚先輩の視線もゆるゆるとそこへ向かう。
「いつ行かれるのですか?」
「……明日」
「明日?」
つい驚きの声が出てしまった。
「それで、だ。高寺」
「はい」
「もしよければ、空港まで見送りに来ては貰えないだろうか」
道路の信号が変わり、辺りが不意に静まり返った時に先輩の声がはっきりと聞こえた。
「見送り……え、と、テニス部の方も行かれるんですよね?」
横断歩道へ歩き出した手塚先輩の横に並びながら聞いた。
「……いや、連中には部活をするように言ってある」
「……」
それを聞いて今日のボーリング大会は手塚先輩の送迎会も兼ねていたのかな、と思った。
「あの、」
渡り終えた歩道の端で立ち止まると、あたしは手塚先輩に声をかけた。
「あたしでよければお見送りに伺います」
「……ありがとう」
先輩の目がレンズの中で優しく笑った。