125キロの加速 ナツのオトメ5
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「で、行くのか?」
「え」
「行くなら送るぜ」
どうしよう、と考える。
具合が悪いから来てくれ、と言われれば部外者でも行く。
でも、
「あたしを呼ぶ意味がわからない」
「そんなのは簡単だ。お前に会いたいから呼ぶ、それだけだ」
跡部さんが静かに笑った。
「……」
いつもなら……と考えてやめた。
やっとわかった。
跡部さんは一人になりたいんだ。
あたしはバカだ。
例え車であったとしても、芥川さんの忘れ物なら芥川さんと一緒に引き返すのが本来だと思う。
あたしを乗せてくれたのは、たまたま見かけてしまったからだ。本当についでだったと思う。跡部さんは面倒見がいいし優しい人だ。
ただ、自分には厳しい。
そして幸村さんの病院。跡部さんはあたしが青学と氷帝の試合中、幸村さんの病室にいたことを知らない。
だから、純粋にお見舞いに連れてきてくれたんだと思う。
お花もあたしに選ばせたし。
「……」
今のあたしに出来ることは、一刻も早く跡部さんを一人にさせてあげることだけだ。
「それならお願いします」
自宅に送られるよりも、ボーリング場のほうがずっと近い。
「ありがとうございました」
「ああ」
車から降りたあたしは、その姿が他の車に紛れて見えなくなるまでただ黙って見送った。