125キロの加速 ナツのオトメ2*
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「手塚…」
「どうした?…不二」
夕暮れのテニスコート。ベンチに座る手塚と不二。手塚は首にタオルをかけ、ドリンクでひと息ついている。
不二は両膝に両手を乗せ、手を組み視線は足元に落ちている。
下級生が後片づけに追われている。
「凄く不謹慎な言い方…考え方なんだけど…」
「…ん?」
何だ…と言う感じで不二に改めて視線を送る手塚。
「…七星ちゃんが事故に遭ってよかったと…僕は思ってる」
「不二っ…!?」
思わず立ち上がり、手塚は不二を見下ろす。
「だから、不謹慎て言ったでしょ?でも真面目だよ…僕は」
「………」
腰を下ろすと、手塚も不二と同じように両膝に両手を起き手を組んだ。しかし視線は暮れ行く稜線に向けた。
「…なぜ急にそう思った」
黄昏る空を見ながら手塚は聞いた。
「もし、事故に遭わなかったら…彼女は青学にはいない」
不意に顔を上げると、不二は言った。
「……!」
「そう、世界記録を狙うスプリンターならもっと陸上の施設のある学校から、いくらでも誘いが来てるからね。…僕らは出会えなかったはずだよ」
「…今は手が届く…」
ポツリ…と手塚が言った。
「…そう…。でも走れないのに翼がある。油断すると、すぐ羽ばたいてどこかに行ってしまう…」
くすくすと不二が笑った。
「君には渡さないからね、手塚。もちろん越前にも…」