125キロの加速 ナツのオトメ5
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リョーマくんの試合が始まった。
そう言えば、青学での練習は時々見たけれど、公式戦でのリョーマくんを見るのは初めてかもしれない。
何だか不思議な感じがする。
普段苦手だと思っている日吉さんも、テニスに打ち込む姿はまるで別人のようだ。
二人とも凄いな、と素直にそう思う。
ゲームが進むうち、日吉さんの構えが途中から変わった……?
氷帝での日吉さんは、意識的に避けていたせいもあって、正直あまり見ていない。
だから試合運びなどはわからないまま……と思った時、携帯が震えた。
《日吉のは演武テニスだ》
またあたしの顔は疑問を全面に出していたようだ。
でも演武って……何だろう……?
《日吉の家では古武術の道場を開いている。幼い時から日吉もそこで稽古に励んでいるが、己れのテニスに行き詰まりを感じた時、顧問の榊教諭のアドバイスで慣れ親しんだ演武をテニスに組み込むことにより、躍進を遂げている》
あたしが首をひねるたび、携帯は震え続ける。
でも柳さん、こちらに構わず試合観てて下さい。
《案ずるな。ちゃんと観ている》
……何も言うまい。
試合はリョーマくんが勝って、青学は2回戦に進んだ。
応援席は素晴らしい試合を見せてくれた青学、氷帝両校のメンバーたちに、拍手と喝采を惜しみなく送り続けた。
リョーマくんがコートからベンチに戻る時に、あたしのほうを見て笑ってくれた気がした。
「凄かったねー! こんなに長い試合観たの初めてだよ~」
拍手をしながら春菜ははしゃいでいる。
「うん、ほんと」
あたしも、いつもの練習とは全然違う皆のテニスに感動が身体中を駆け抜けた。
テニスって凄いんだ。
《お疲れ。今日はもう帰るのか?》
拍手も収まり、応援席が帰りのざわめきにあふれ始めた頃、また鞄の携帯が震えた。
《柳さんもお疲れ様です。はい、今日はもう帰ります。柳さんも帰られますか?》
《ああ、俺たちは試合をしそびれたから、いったん学校へ戻り時間まで練習することになった》
画面から目を上げると、あたしに気づいた立海の人が軽く手を上げてくれた。