125キロの加速 ナツのオトメ5
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「でも、どうして七星さんが……?」
幸村さんは、その場に立ったままのあたしに椅子を勧めながら言った。
「あの……柳さんから……」
「蓮二が……」
あたしの言葉に小さくため息をついたけど、穏やかな微笑みと優しい眼差しがともった。
そんな幸村さんに少し痩せたかな、と思った。会うまでは焦りと不安でいっぱいだったけど、顔を見るとやっぱり安心する。
「あの……具合は、どうなんでしょうか……?」
でも、椅子に座ると幸村さんに近づくせいか、いざ質問したはいいけど、ただ自分の指先を見つめるだけになってしまった。
「ああ、何だかね、疲れが溜まってしまったみたいなんだ」
それだけだから、と言われると、いつもと変わりない幸村さんの優しい笑顔に、あたしもようやく胸をなで下ろした。
「幸村さんは、きっと練習のし過ぎです。今日から関東大会だから……」
言いかけてハッと口をつぐんだ。
「そう……だね。関東だ……」
幸村さんの眼差しから穏やかさが揺らぐ。
でもそれはすぐに打ち消された。
「……そうだ! 関東大会初日じゃないか。何で七星さんはここに来たの? 青学の応援は……青学は一回戦はどことだった?」
たたみかけるように幸村さんは言ってきた。
「青学は氷帝とです」
「氷帝……跡部か……」
「青学は勝ちます」
「……え」
幸村さんがじっとあたしを見つめた。
急に恥ずかしくなった。
「というか、勝ってもらわないと困ります。せっかく幸村さんの所に来たのに、負けられちゃ次に応援へ行けませんから」
頬が熱くなるのを悟られまいと、下を向いてごまかすように言った。