125キロの加速 ナツのオトメ5
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柳が席に戻る頃には、すでに青学対氷帝戦もかなりゲームが動いていた。
「どこへ行っていた」
「精市への見舞いの手はずを整えに」
真田の問いに、柳はただスケジュールの微調整をしてきただけのように淡々と答えた。
「そうか……」
無表情に柳を一瞥した真田だったが、それ以上は何も訊かなかった。
久し振りにその病院の前に立った。
幾度か訪れたことのある白い建物。その建物を見上げると、急に緊張と不安が走ったけど急いで頭を振って、強引に押しのけた。
そして、休日の今日は外来は閉まっているから、脇にある小さな入り口へと足を向けた。
「はい」
ノックの音に返って来た声は思ったより力強かった。あたしは少しだけほっとして静かにドアを開けた。
「七星さん……」
幸村さんは、あたしがいることによほど驚いたらしくて、あたしを見たまま縫いつけられたように目を見開いたまま動きが止まってしまった。
「あの……」
あたしもそんな幸村さんにおずおずとドアを閉めると、静かにベッドへと近づいた。
「ごめんなさい」
「え……」
唐突に頭を下げたせいか、固まったようにずっとあたしの動きを目だけで追っていた幸村さんは、やっとまばたきをした。
「あたし、幸村さんが入院してたなんてこれっぽっちも知らなくて……」
もっとちゃんと言おうとしたのに、言葉の終わりは消え入りそうに小さくなってしまった。
あたしが泣きそうになったせいか、やっと幸村さんも表情を和らげてくれた。