125キロの加速 ナツのオトメ5
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今、精市は入院している」
「え……」
柳さんの言葉に耳を疑った。思わず柳さんを見上げた姿勢のまま、固まってしまった。
「で、でも、幸村さんはあたしに毎日メールを送ってくれて……」
昨夜だって……と言いかけたけど、それは声にならなかった。
幸村さんは、再入院したことも病状のことも、何もあたしに伝えてはくれていない。
「精市は、君にだけは心配かけたくはないのだ。だが……」
柳さんもいつになく歯切れが悪い。
そのせいか、今しがたまで気にしていたコート内の様子や、ボールの音も次第に遠くなるのがわかった。
「誰よりも君に逢いたいと思っているはずだ」
「……」
一番最後に幸村さんの姿を見たのはいつだったろう。
あたしは記憶をたどった。
氷帝と青学の練習試合を思い出した。急な雨で避難した氷帝の体育館。
あの日、あたしの隣りにほんの少しの時間、幸村さんはいた。
悔やまれる……。あの時もう少し、もうひと言……。
ううん、そうじゃない。メールの中から伝わる幸村さんの気持ちを、あたしは全然読めていなかったんだ。
そう思うと自分が情けなくて嫌になる。
「柳さん、幸村さんの病院はどこですか?」
あたしはもう一度柳さんを振り仰いだ。
「え……」
「これからお見舞いに行きます」
柳さんは、少し驚いたような顔をした。
「しかし、いいのか? 青学の試合中だぞ?」