125キロの加速 ナツのオトメ4*
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庭の片隅に、忘れ去られたかのように咲いていたたった一輪の赤いひまわり。
もし今日七星が来なければ、自分は気づきもせずに花は枯れただろう。ただ、そこから落ちた種で来年の夏に咲くひまわりの数が増えるのかもしれないが…。
さっきは七星の背中越しに見た赤いひまわり。今は向かい合って見つめる。
『あなたは素晴らしい』
そうひまわりが語りかける。
「俺が…?」
都大会での準々決勝敗退。まさかのコンソレーションでようやく関東への切符を手に入れた。常にトップを走る。その姿勢は揺るがない。
『君は素晴らしいよ、我が校の誇りだ』
『いやー跡部くん、素晴らしいよ。ナイスプレーだね』
『素晴らしい』は幾度も言われて来た言葉だ。別に珍しくもない。
ただ、死線をくぐり抜けた年下の七星に言われるとは思いもしなかった。夏の陽射しを受け、赤いひまわりは凛(りん)として誇らしげに咲いている。七星に似ている、跡部はそう思った。
次に七星と会えるのは、おそらく関東大会までは無理だろう。青学も氷帝もぶっ続けで毎日練習だ。
「待ってろよ…」
赤いひまわりにつぶやくと、跡部は空を見上げた。
視界いっぱいに青空が広がった。
真夏の空だ。