125キロの加速 ナツのオトメ4*
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「頂けるなら種を下さい。来年、庭に蒔いて咲かせます」
七星はひまわりから目を離さずに言った。
「それは構わねぇが…切ってもいいし、根ごと掘って持って帰ってもいいぜ? どうせ車で送るんだし、他の花もいるか?」
跡部も、七星が興味を示す赤いひまわりを改めてじっと見た。
「いえ、切らないでこのままここで咲かせて下さい。きっと跡部さんへのメッセージを運んで来たんですから…」
七星がひまわりから跡部へ視線を移して微笑んだ。
「メッセージ…だと?」
数度まばたいてから、跡部は七星を見た。
夏の陽射しが本格的に戻り、芝生にいくつも散らばる雫達が一斉に輝く。
「はい。あたしが初めて赤いひまわりを見たのは去年の夏休みです。事故で何も出来なくなって、何もかも嫌になっていた時、父の田舎の庭で見たんです」
その時の情景を思い出すように七星は目を閉じた。
「あたしはまだ車椅子でした。部屋の中で庭に向けられた車椅子からただぼんやりと、植えられているトマトやトウモロコシを見ていたら、赤いひまわりが目に入ったんです」
ゆっくりと瞼を開け、再びひまわりを見つめる眼差しは穏やかだ。