125キロの加速 ナツのオトメ4*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え…え…? だって七星ちゃんだって忘れ物があるからついて行ったんでしょ? 何もなきゃ俺達と帰るはずじゃん」
桃城から言われたことがよくわからないまま、それでも菊丸は屈託のない笑顔を向けた。
(…おめでたいな、この人は)
「たまには人ってもんを疑った方がいいっすよ、先輩」
手の甲に乗せたままの顔を、わずかに菊丸に向けてから言った後に桃城は、バスの揺れに身を任せ再び目を閉じた。
(まぁ、桃城の言う通りだよな。不二先輩をかわそうと思ったらあっちについて行くしかねぇし…)
桃城の隣の海堂も腕を組み、困った表情の七星を思い浮かべ、ただ前の座席に取りつけられたネットの中に無造作に突っ込んだお茶のペットボトルを睨んでいた。
七星達を乗せた黒塗りのリムジンが、跡部邸の門をくぐった時にはかなり降りも弱くなって来ていた。
(これなら少し雨宿りさせて貰えれば帰れそうじゃない?)
雨粒が幾筋か流れるガラス越しにゆっくりと流れる跡部家の庭園を見ながら、七星はホッとひと息つき、氷帝を出て以来の固い表情にようやく安堵の色を浮かべた。
「何だ、小降りになったとたん嬉しそうじゃねぇか」