125キロの加速 ナツのオトメ4*
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跡部達がコートに戻り、氷帝の音楽教師でありテニス部の顧問でもある榊の手もようやく離れ、七星は安堵のため息をこっそりとひと息ついた。
七星はパラソル越しに空を見上げる。青い空にくっきりと沸き立つ入道雲が眩しいほどに鮮やかだ。コートからは盛んにボールを打ち返す音と審判の点数を告げる声が響く。
力の限りボールを追ってコートを走り続ける選手達を見るにつけ、七星も思う。
走りたい…自分も競技場のトラックを走りたい。後先考えず、誰の背中も見ないで思い切り走ってからどれくらい経ってしまったのだろう…。
短距離だけが陸上ではない。幅跳び、走り高跳び、棒高跳び、ハードル…他にも色々ある。50メートル以内で全力を出せる競技はいくらでもある…。そう、ある…。けれど、やれるはずだけれど…短距離から離れられない。走りたい。
(夢…だったな…)
心でつぶやく。
(…あれ…)
ずっと空を見上げていた七星が、何かの音を聞いた気がして視線を白熱中のコートに戻し耳を澄ます。
ボールの音に混じり、確かにそれは太鼓を鳴らすように遠くの空から時折響く。