125キロの加速 ナツのオトメ2*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(……え?)
手に何か入った感触がして、あわてて指を開くと、折りたたまれたメモが出て来た。
(手塚先輩…?)
メモと、通り過ぎて行く先輩の背中を、交互に見比べてしまった。
(何だろう…)
皆が手塚先輩を見送るため玄関に行く中、あたしは急いでメモを見た。
メモを見るあたしを、先輩が振り返って見たことを、あたしは気がつかなかった。
《君からのメールが欲しい。本当は声が聞きたいけれど、無理は言わない》
その下に手塚先輩のアドレスと電番が書いてあった。顔を上げて、玄関を見た時は、もう先輩は戻っていた。
お昼過ぎにミーティングをしてからは、夕食まで自由時間だ。二人の先輩達は、手塚先輩に言われた通りテニスを教えて貰いに、テニスコートへ行ってしまった。
あたしは…せっかく八ヶ岳に来たんだから…とサイクリングに出かけることにした。
風も空気も全然違う。
気持ちいい。
もう赤とんぼがたくさん飛んでる。顔にぶつかるんじゃないかと思うくらいで、知らずに首をすくめてしまう。
(自転車だから、結構遠くまで来たよね…そろそろ戻ろかな…)
そう思った時、キャンプ場のある、大きなホテルが木立ちの間から見えた。
近くには川も流れている。
(立派なホテル…)
と思った時、何だか聞き覚えのある声が…近づいて…あたしは呆然とした。
(なぜここに…?)
「せやな。早よ行かな、あかんかも……」
声の主もあたしを見て、目を真ん丸にして、立ち止まった。
「七星ちゃん!?ホンマ七星ちゃんやん!どないしてん? いや~めっちゃ嬉しなぁ。夏休み中にまさか会えるなんて、思ってもいてへんかった」
声の主、氷帝の忍足さんはそう言いながらツカツカと近寄ると、嬉しそうにあたしの手を握って離そうとしない。
「あ…あの」
「ん~?何かな七星ちゃん?」
「手…離してくれませんか?」
「嫌や。離してしもたらすぐいなくなってまうやん」
(そりゃもう、速攻で帰りますとも)
「忍足、俺達も行かねぇと」
呆れるように隣りにいる跡部さんが言った。
「あ~せやった~。悔しなぁ~。せっかく逢えたっちゅうに。ほんま七星ちゃん、お持ち帰りしたいわ」
(遠慮します)
「俺らそこのホテルで林間学校なんよ。よかったら来てんか?」
「いえ、あ…あたしも合宿なんで、あまり自由には行動出来ないです」
「合宿?ふーん…」