125キロの加速 ナツのオトメ4*
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「悪い! これ、亮に渡してくれる?」
まだボンヤリとしていたあたしの耳に、誰かの声が急に入って来た。
「…はい?」
息せききってあたしに駆け寄ったその人に、思わずあたしも返事をした。
「ずっと借りっぱなしで、返そうと思ってたのに、さっき渡し忘れた…」
急いで腕時計を外しながらその人が言うと、
「いや、今この場で顔知ってる子君しかいないから、よろしくね」
「え? …あの?」
あたしに外した腕時計を渡すとその人は、また全力でもと来た道を駆けて行ってしまった。
「…え? …え??」
そりゃ…確かにあなたとはつい先ほどお会いしましたよ…?
でも……
あの…
(…亮…って…誰…?)
試合が始まる直前のスタンド前で、あたしは渡された腕時計を手にしたまま呆然と突っ立っていた。
「観ないの?」
突っ立ったままのあたしに、近づいて来た誰かが声をかけて来た。
「あ、いえ…観ま…」
あたしは今度こそ心臓が止まるかと思った。
「やぁ、しばらくだね? 元気だった?」
山吹中の千石さんがにこにこと笑いながら、部員さんと監督らしき年輩の人と一緒にスタンドに入って来ていたのだ。