「先輩、どうされたんですか…？」
あたしは先輩に駆け寄ると、少し戸惑いながら声をかけた。
…でもなぜか先輩の方が、ずっと戸惑っているように見えた…のは気のせい…？
「あ…いや、その…すまない…」
手塚先輩はいきなりそう切り出すと、ホントにすまなさそうな…申し訳ないような顔であたしを見下ろす。

「…え？　ど…どうして先輩がいきなり謝るんですか…？」
あたしはわけがわからず、面食らって先輩を見上げる。
「…気づかなかった…お前が倒れる直前…不二や他校の幸村や跡部、観月までが…助けに駆け寄ったのに…」
苦渋の顔で変わらずあたしを見つめる。
「…えっ？　あ、そんなこと、気になさらないで下さい」
あたしはあわててしまった。そんなことを手塚先輩が思い悩むなんて、考えてもみなかったから…。
「しかし…俺はお前を好きだと言っておきながら…何もしてやれない…」
（………）
もしかして先輩は、それを考え込んでてこんな時間まで、ただ歩いていたの……？