125キロの加速 ナツのオトメ3*
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パチンッ…
膨らませた風船ガムが割れた。
風がない。ねっとりと体にまとわりつく湿度が、不快指数の高さを否応なしに感じさせる。
「つまんなさそうっすね」
ベンチでぼんやりとガムを噛み続ける先輩の丸井を眺めていた切原も、フェンスに寄りかかりながら、退屈そうに言った。
「お前もだろぃ」
切原を見るわけでもなく、またガムを膨らませた。
「…練習とは言え試合が中途半端になってしまったからな、どうもスッキリせん」
「…仕方ないぜよ。こうも暑いとやる気も削がれる…」
柳の言葉にそう言いながらも、先ほどの不二達との試合…。
辛うじて勝ちはしたが、不満だらけの内容だった。
七星の言葉に一喜一憂する自分がいる。
それは、天才と呼ばれる不二周助にしても、平常心を崩される、唯一の弱点だ。
『詐欺師』を翻弄し『天才』を凡人に落とし、それでもスルリ…と手から逃げてしまう…。
(…困ったもんぜよ…)
…相手が幸村でなければ、遠慮はしないんじゃが…。