試験が始まった。5人ずつ係の方に呼ばれ、別の部屋へ入っていく。別室でやるらしい。
「俺は星崎だから真ん中くらいか？」
考えながら、緊張を紛らわす為に周りを見渡す。
すると、1人、涼しい顔をしてゲームをしている奴がいた。
なんだあいつ、やる気あるのか？、と、思ったが周りでは
「俺、友達に推薦されてしょうがなく受けに来たんだ。｣
と、言っている奴もいる。
こいつもその類かな、と思いながらとりあえず第一印象を勝手にいけ好かない奴にして他の人を観察してみることにした。
その時、1組目が帰ってきた。それぞれ澄ましたような、やりきったような顔をしている。だが、1人だけ明らかに暗い顔をした奴がいる。そいつは少し、ふらふらしながら俺の斜め前の席に座った。近くでみると、可愛らしい顔が目に入る。どうしても気になり、声をかける。
「初めまして。俺は星崎エイト。顔色が悪いけど、大丈夫か？｣
そいつは顔をあげて言った。
「初めまして。僕は白木リクです。ありがとうございます、大丈夫です。ただちょっと、自信がすごくなくなってしまっただけなので。｣
白木が、乾いた笑い声をあげながら言う。
「ちょっとドジしてしまって…。ダンス中にコケてしまったんです。……あんなになりたいアイドルになる為に練習したんですけどね...。｣
親近感が湧いた。
「俺も今までアイドルになる為に練習してきたんだ。大丈夫。頑張ってきたことは必ず報われるよ。｣
「ありがとうございます…。優しいですね。｣
白木が微笑む。
可愛い。弟がいたらこんな感じなのだろうか。
それから、小さな声で、お互いに趣味などの話をして、順番がくるのを待った。