リバミファ二次小説

【青い影】


「しまった! 御ひぃ様が……!」

 魔物達の処理に集中していた英傑達は一般兵と共に後方に控えていた王家の姫君にイーガの凶刃が迫るのをすぐさま察知した。
 だが、駆けつけるには遠すぎる。

「姫さん逃げろ!!」

 万事休すかと思われたその時、上空から何かが高速で飛来してくるのが見えると、ゾーラの英傑が驚きを隠しきれずに叫んだ。

「あれは……リーバルさん?!」
「!」

 上空から高速で飛来した青い影は途中で弓を取り出し、すぐさまイーガの幹部達の頭に矢を複数浴びせて彼らを一瞬で戦闘不能にしていった。

「ふぅ」

 王家の姫君を取り囲んでいたイーガが全て倒れたのを確認すると、青い影は安堵の息を漏らしながら姫君の前に優雅に着地した。

「やれやれ、やっぱり僕がいないと話にならないね」

 青い影――リトの英傑リーバルは翡翠のような眼を細めてそう呟いた。


 ◇ ◇


「そういえば……」
「どうしたの、ウルボザさん?」

 魔物退治も終わり、一行は城への帰途に着いていた。そんな中ゲルドの英傑がある疑問を口にした。

「御ひぃ様がイーガに襲われそうになった時、どうしてミファーはリーバルが助けに来たと分かったんだい?」
「それは……」
「へぇ、そんなことがあったなんてね」
「あっ、リーバルさん」

 唐突にリトの英傑が嘴を挟んできた。どうも、二人の会話を盗み聞きしていたようだ。

「誰にも視認出来ない速度で急降下したつもりだったから、君が勘づいたのが少し意外だよ。どうして分かったんだい?」
「えっとね……」

 少し恥ずかし気に俯いて、ゾーラの英傑はゆっくりと口を開く。

「音がしたの」
「音? もしかして、翼が風を切る音かい?」
「そう、リーバルさんの翼が風を切る音はとっても綺麗なの。だからすぐ分かったんだ」
「なるほど、リーバル程のリトの戦士だとそんな所にも違いがあるんですね。とても興味深いです!」

 途中で会話に加わった王家の姫君が嬉々として話をまとめると、ゾーラの英傑ははにかみながら首をかしげ彼女の頭飾りがシャラリと鳴った。

「…………」

 それとは対照的に、リトの英傑はどこか機嫌が悪そうな顔をしていた。

「リーバル、急に難しい顔してどうしたんだ?」

 彼の異変に気付いたゴロンの英傑が声をかけるが……。

「ふん、なんでもないよ」

 そう言って、リトの英傑は機嫌が悪いまま飛び去って行った。

「一体あいつどうしたんだぁ?」
「多分、照れ隠しかなんかだろうさ」
「照れ隠し、ですか?」
「そう、ミファーに綺麗だなんて褒められて、照れちまったんだよ」
「……? 私、リーバルさんが照れるようなこと言ってないよ?」
「……。ふふっ、無自覚ってやつぁ怖いねぇ」
「ウルボザさん……?」

 不思議そうにするゾーラの英傑にゲルドの英傑は訳知り顔でニヤリと笑う。

「まぁいい、これからもリーバルの良い所見つけたらうんと褒めてやんな」
「うん、そのつもり!」

 そんな言葉を交わしながら、リトの英傑を除く英傑達と王家の姫君は城下町の城門をくぐっていった。
11/16ページ
スキ