リバミファ短編まとめ
【人魚姫の手】
手を繋がなければ出られない奇っ怪な祠に閉じ込められた僕とミファーは比較的スムーズに手を取り合うも、祠の主から『それは握手です』と突っぱねられてしまった。
「握手以外でどう手を繋げば良いっていうんだよここの祠の主…」
リト族とゾーラ族では手の大きさが違う。
普通に握手する以外にどうすればいいのかと、頭を抱える。
「ねぇ、ダンスのエスコートみたいな握り方は出来ないかな?」
僕がミファーに手を差し出し、彼女がその手に触れれば良い。
ハイラル城でやるようなダンスなんぞやった経験はないが、これならさっきの握手より無駄なくスマートだ。
「なるほど……良いアイディアだ、ミファー。早速試してみよう」
そうしてミファーの前に素早く右手を差し出す。
「……」
だがミファーは差し出した手を取らずどこか呆けた顔で僕を見ていた。
「ミファー……?」
「……あっ、ごめんなさい。貴方の手を差し出すのがすごくきれいで、つい見とれちゃってた」
怪訝な僕にミファーはこれまたおかしなコトを言ってのける。
「はぁ? たかが手を差し出しただけで?」
「うん、本当にエスコートされてるみたいで驚いちゃって」
お姫様が上品に頷くのを見て毒気を抜かれる。
閉じ込められたというのにこの余裕なのは王族故なのだろうか、それともミファーだからこそなのか。
「……ミファーってさ、たまに変だよね」
「そ、そうかなぁ」
「そうだよ絶対。ほら、早く手を出して」
「う、うん……」
差し出されたミファーの小さな手をゆっくり握る。
「……」
さっき握った時は感触すらよく分からなかったが、ミファーの手は小さいだけじゃなくてひんやりして柔らかいことを知る。
おまけに蓮の花のように甘い香りまでしてくる。
新雪のように滑らかで花のように甘やかな感触に胸の鼓動が一瞬だけ速まった気がした。
「あ! 扉が開き始めたみたいだよ!」
「!」
今度こそ大丈夫だったようで、入口の扉がゴトゴトと重い音を立てて開き始める。
さっきまで繋いでいたミファーの手はするりと離れ、僕の手は所在なさげに宙に浮かんでいた。
「一時はどうなるかと思ったけど、早く出られて良かったね」
「――――」
「……リーバルさん?」
「あ、あぁ、そうだね。ここから早く出よう」
「うん!」
ミファーはパタパタと祠の出入り口に駆けていく。
(本当に…柔らかかったな……)
その背中をぼんやり見つめながら、彼女の指の感触を反芻する己を止めることなど終ぞ出来なかった。
手を繋がなければ出られない奇っ怪な祠に閉じ込められた僕とミファーは比較的スムーズに手を取り合うも、祠の主から『それは握手です』と突っぱねられてしまった。
「握手以外でどう手を繋げば良いっていうんだよここの祠の主…」
リト族とゾーラ族では手の大きさが違う。
普通に握手する以外にどうすればいいのかと、頭を抱える。
「ねぇ、ダンスのエスコートみたいな握り方は出来ないかな?」
僕がミファーに手を差し出し、彼女がその手に触れれば良い。
ハイラル城でやるようなダンスなんぞやった経験はないが、これならさっきの握手より無駄なくスマートだ。
「なるほど……良いアイディアだ、ミファー。早速試してみよう」
そうしてミファーの前に素早く右手を差し出す。
「……」
だがミファーは差し出した手を取らずどこか呆けた顔で僕を見ていた。
「ミファー……?」
「……あっ、ごめんなさい。貴方の手を差し出すのがすごくきれいで、つい見とれちゃってた」
怪訝な僕にミファーはこれまたおかしなコトを言ってのける。
「はぁ? たかが手を差し出しただけで?」
「うん、本当にエスコートされてるみたいで驚いちゃって」
お姫様が上品に頷くのを見て毒気を抜かれる。
閉じ込められたというのにこの余裕なのは王族故なのだろうか、それともミファーだからこそなのか。
「……ミファーってさ、たまに変だよね」
「そ、そうかなぁ」
「そうだよ絶対。ほら、早く手を出して」
「う、うん……」
差し出されたミファーの小さな手をゆっくり握る。
「……」
さっき握った時は感触すらよく分からなかったが、ミファーの手は小さいだけじゃなくてひんやりして柔らかいことを知る。
おまけに蓮の花のように甘い香りまでしてくる。
新雪のように滑らかで花のように甘やかな感触に胸の鼓動が一瞬だけ速まった気がした。
「あ! 扉が開き始めたみたいだよ!」
「!」
今度こそ大丈夫だったようで、入口の扉がゴトゴトと重い音を立てて開き始める。
さっきまで繋いでいたミファーの手はするりと離れ、僕の手は所在なさげに宙に浮かんでいた。
「一時はどうなるかと思ったけど、早く出られて良かったね」
「――――」
「……リーバルさん?」
「あ、あぁ、そうだね。ここから早く出よう」
「うん!」
ミファーはパタパタと祠の出入り口に駆けていく。
(本当に…柔らかかったな……)
その背中をぼんやり見つめながら、彼女の指の感触を反芻する己を止めることなど終ぞ出来なかった。