リバミファ短編まとめ

【助けたのが僕で悪かったね】


「僕の連れに何か用かい?」

 ゾーラのお姫様が城下町でガラの悪い連中に絡まれていたのを見かけたので仕方なく追い払ってやった。

「全く、君も英傑なんだからしっかりしてよね」
「あ、ありがとうリーバルさん。道に迷っちゃって、こういうコト慣れていなくて……」
「はぁ、これだから箱入りのお姫様は」
「……」

 嫌味を言いながら近づくと、彼女はホッとしたような……でもどこかがっかりしたような顔をする。
 どうも、このお姫様は助けたのが僕だったのが少々ご不満なようだ。

「悪かったね、あいつじゃなくて」
「えっ…あっ、その……ごめんなさい」

 図星だったようでミファーは俯いてしまう。
 あまりにも分かりやす過ぎてこっちが不安になる。

「君、少しはポーカーフェイスってのを覚えなよ」
「ぽ、ぽーかーふぇいす……」
「あいつの真似でもしてみたら?」
「! り、りりリンクのっ……!?」

 今度は頬を真っ赤に染めてオロオロし出す。
 何でも卒無くこなすゾーラの英傑にも苦手なことがあるようだ。
 それがどこか微笑ましくて、思わず吹き出しそうになる。

「……ミファーってホント、からかうと面白いね」
「むぅ…っ…」

 笑いをこらえてそう呟けば、今度はオクタみたいに頬を膨らましてきた。

「……っ……」

 その顔は……正直、反則だと思う。

「…ぶふっ……」

 僕も流石に耐えられなくなって吹き出した。

「もうっ、また私をからかって……!」

 怒るお姫様から逃げるように空に舞い上がる。
 折角助けたのにがっかりされたのは心外だったけど、ミファーの楽しい百面相が見れたので良しとしよう。

3/5ページ
スキ