リバミファ短編まとめ

【お結びを頬張るお姫様は…】


 ―――ハイラル城、英傑の間。


「はい、これ」
「……は?」

 英傑同士の会合の一環で英傑の間での会食中、ミファーから彼女が今まさに食べようとしていた筈の海鮮結びが僕に差し出された。

「えっと、じっと見てたから足りなかったのかなって……」
「――――」

 面食らって返す言葉が浮かばずにいると、お姫様は差し出したお結びを手元に戻してしゅんとしてしまう。

「あの……勘違いだったかな? ごめんね、変なコトしちゃって」
「……あのさ」
「な、何? やっぱり欲しか……」
「別に君のお結びが欲しかった訳じゃないよ。ただ……」
「ただ……?」
「――――。いや、やっぱり何でもない」
「えっ……」

 困惑するお姫様から目を逸らし、空になった自分の皿を置いて席を立った。

「とにかく、僕はあいつみたいに人が食べてるお結びを物欲しそうに見るような真似――しないからね」

「もうっ、またリンクのことそんな風に言って…っ…!」

 捨て台詞を吐いて、早歩きでバルコニーに向かう。
 背後からお姫様の怒った声が聞こえたが、構わず城の外へと飛び出した。


 ◇ ◇


 降り立った城下の大聖堂の屋根にしゃがみこみ、賑やかな昼下がりの城下町を見下ろしながら一人ため息をつく。

「言えるワケ、ないじゃないか」

 美味しそうにお結びを頬張る顔が可愛いなとか……。
 そんな馬鹿なコト、思ってたなんて……。

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