ゼノブレ二次小説
【ふわふわ雪花シャーベットとメレフ】
「!」
目を覚ますと見慣れない石の天井が眼前に広がっていた。
(ここは……?)
目だけを動かして周囲を探る。どうも、自分はベッドに寝かされているようだ。壁の模様や家具の装飾から、ルクスリアの王宮であるテオスカルディアの中だと分かった。
「うっ……」
起き上がりベッドから出ようとするが、頭がグラグラしてだめだった。高熱を出しているようで体も異常に熱かった。風邪を引いてしまったようだがいつそうなったかも記憶がない。
「一体、何が……」
周りには誰もいない。ここが安全であると理解はしているが、やはり急いでカグツチやレックス達と合流しなければ……。そんなことをグラグラする頭で考えていたら、部屋のドアがノックされ見慣れた隻眼が姿を現した。
「おっ、やっと起きたかメレフ」
「ジーク?! なぜここに」
ジークは沢山の食料や飲料水を腕に抱えていて、私が目を覚ましたことにホッとしたように息を吐いた。
「あんさん戦闘中に高熱出して倒れたんやけど、なんや……覚えてへんのか?」
「……なんだと」
「中々起きひんから心配したんやで」
持ってきた物資をテーブルに置き、ジークは部屋にあった椅子にどっかりと座る。
私が倒れてしまったのはどうも本当らしい。私としたことが、皆に迷惑をかけてしまった。
「それで、カグツチ達は?」
「サイカの道案内で高熱に効く薬草を採りに行っとる。もうそろそろ戻ってくるはずや」
「そうか……皆に迷惑をかけてしまったな」
「お互い様や、気にせんでええ」
「しかし……」
「メレフは生真面目過ぎなんや。こんな時くらいゆっくりしときや」
「生憎と、のんびりとできない性分でな」
「全く、病人は病人らしくこれ食べて寝とき」
「こ、これは……!」
ジークは持ってきた物資からなにやらゴソゴソと探っていたかと思うと、私の鼻先に取り出したものを突きつけてきた。それはテオスアウレのパティスリー・プラクースで手に入るふわふわ雪花シャーベットであった。冷たくて甘いがお手頃の価格で、あの店の主力商品の一つだ。
「ワイの奢りや。まだまだあるさかい、味わって食いや」
熱を少しでも下げる為に沢山買ってきたようだ。その小さな気遣いが風邪で弱っていた私の心に沁みていくようだった。
「ありがとう。だが、こんなに沢山は流石に食べ切れんよ」
「メレフが食べ切れん分はワイが食べる。それが狙いで沢山買うてきたんや」
そう言って豪放に笑うルクスリア一のドライバーの心優しい本質を見た気がした。
「全く、抜け目ないな貴公は」
言いながら私は早速ふわふわ雪花シャーベットをスプーンで掬い、口に運んだ。
「……おいしい」
名に違わないふわふわのシャーベットはとても冷たくて、高熱を帯びた体の体温が一気に下がった気がした。風邪を引いているせいか、以前食べた時より美味しく感じた。
「ふっ……」
味わって食べていたら急にジークがニヤニヤし始める。また何を企んでいるのやら。
「なんだジーク。まだやるとは言ってないからな」
「いやな、ホンマに良い顔で食べるな思て」
「は?」
「あんさん美味しいもの食べるとぎょーさん可愛くなるんや」
「…………」
前言撤回。やはりこの男、いつかその性根を叩き潰さねばならないようだ。
「ま、寝顔には勝てへんがな!」
ハッハッハと笑うジークの顔が小憎たらしくなってくる。
「このっ……!」
「へっ、甘い甘い!」
思わず持っていたスプーンをジークに向かって投げるが、避けられてしまった。本調子でないのがとても悔やまれる。
「ジーク!」
「そんだけ元気ありゃ風邪もすぐ治るやろ。じゃ、スイーツ食べたら大人しく寝とき」
そう言って、ジークは部屋から逃げるように出て行った。あの男、逃げ足も速いことを忘れていた。
「風邪が治ったら覚えておけよ、ジーク!」
今はまず風邪を治すしかない。あの男に一泡吹かせる為にも、私は残りのシャーベットを全てたいらげてベッドに横になるしかなかった。
そうしてカグツチ達が帰ってきた頃には、珍しく深い眠りに落ちていたのであった。
「!」
目を覚ますと見慣れない石の天井が眼前に広がっていた。
(ここは……?)
目だけを動かして周囲を探る。どうも、自分はベッドに寝かされているようだ。壁の模様や家具の装飾から、ルクスリアの王宮であるテオスカルディアの中だと分かった。
「うっ……」
起き上がりベッドから出ようとするが、頭がグラグラしてだめだった。高熱を出しているようで体も異常に熱かった。風邪を引いてしまったようだがいつそうなったかも記憶がない。
「一体、何が……」
周りには誰もいない。ここが安全であると理解はしているが、やはり急いでカグツチやレックス達と合流しなければ……。そんなことをグラグラする頭で考えていたら、部屋のドアがノックされ見慣れた隻眼が姿を現した。
「おっ、やっと起きたかメレフ」
「ジーク?! なぜここに」
ジークは沢山の食料や飲料水を腕に抱えていて、私が目を覚ましたことにホッとしたように息を吐いた。
「あんさん戦闘中に高熱出して倒れたんやけど、なんや……覚えてへんのか?」
「……なんだと」
「中々起きひんから心配したんやで」
持ってきた物資をテーブルに置き、ジークは部屋にあった椅子にどっかりと座る。
私が倒れてしまったのはどうも本当らしい。私としたことが、皆に迷惑をかけてしまった。
「それで、カグツチ達は?」
「サイカの道案内で高熱に効く薬草を採りに行っとる。もうそろそろ戻ってくるはずや」
「そうか……皆に迷惑をかけてしまったな」
「お互い様や、気にせんでええ」
「しかし……」
「メレフは生真面目過ぎなんや。こんな時くらいゆっくりしときや」
「生憎と、のんびりとできない性分でな」
「全く、病人は病人らしくこれ食べて寝とき」
「こ、これは……!」
ジークは持ってきた物資からなにやらゴソゴソと探っていたかと思うと、私の鼻先に取り出したものを突きつけてきた。それはテオスアウレのパティスリー・プラクースで手に入るふわふわ雪花シャーベットであった。冷たくて甘いがお手頃の価格で、あの店の主力商品の一つだ。
「ワイの奢りや。まだまだあるさかい、味わって食いや」
熱を少しでも下げる為に沢山買ってきたようだ。その小さな気遣いが風邪で弱っていた私の心に沁みていくようだった。
「ありがとう。だが、こんなに沢山は流石に食べ切れんよ」
「メレフが食べ切れん分はワイが食べる。それが狙いで沢山買うてきたんや」
そう言って豪放に笑うルクスリア一のドライバーの心優しい本質を見た気がした。
「全く、抜け目ないな貴公は」
言いながら私は早速ふわふわ雪花シャーベットをスプーンで掬い、口に運んだ。
「……おいしい」
名に違わないふわふわのシャーベットはとても冷たくて、高熱を帯びた体の体温が一気に下がった気がした。風邪を引いているせいか、以前食べた時より美味しく感じた。
「ふっ……」
味わって食べていたら急にジークがニヤニヤし始める。また何を企んでいるのやら。
「なんだジーク。まだやるとは言ってないからな」
「いやな、ホンマに良い顔で食べるな思て」
「は?」
「あんさん美味しいもの食べるとぎょーさん可愛くなるんや」
「…………」
前言撤回。やはりこの男、いつかその性根を叩き潰さねばならないようだ。
「ま、寝顔には勝てへんがな!」
ハッハッハと笑うジークの顔が小憎たらしくなってくる。
「このっ……!」
「へっ、甘い甘い!」
思わず持っていたスプーンをジークに向かって投げるが、避けられてしまった。本調子でないのがとても悔やまれる。
「ジーク!」
「そんだけ元気ありゃ風邪もすぐ治るやろ。じゃ、スイーツ食べたら大人しく寝とき」
そう言って、ジークは部屋から逃げるように出て行った。あの男、逃げ足も速いことを忘れていた。
「風邪が治ったら覚えておけよ、ジーク!」
今はまず風邪を治すしかない。あの男に一泡吹かせる為にも、私は残りのシャーベットを全てたいらげてベッドに横になるしかなかった。
そうしてカグツチ達が帰ってきた頃には、珍しく深い眠りに落ちていたのであった。