三人のシャーロッキアン


◆注意◆

ブログの突発ネタでしたが、微妙に続いてしまいそうなのでコチラに置きました。時事ネタだけ古くなると困るので取りはらいました。『絹の家』について侃々諤々しているシャーロキアンたちに萌えたためで、ホームズは出てきません。

一話完結という名のぶつ切りで、CP固定なし。相手一筋なラブラブでなきゃ嫌だという方はお気をつけください。一応最終固定カップリングは決めてありますが、基本全員いちゃいちゃします。

↓は特に読んでも読まなくてもさしつかえありません。最初に思いつき、下はその後に打った即席SS。深い意味どころか何も考えてないので、この世界が一体どこで、どんな構造になってるのか考えず、軽い気持ちで楽しめるという方のみどうぞ。


◆キャラクター◆


ホームジアン:正統派。非常に頑固だが誰よりも一番早くパロディの類いも読む。実はホームズという名前を見るだけで激しく疼く股間をもてあましている。人前ではデレない。探偵を崇拝してるがゆえにインテリぶってみたり難しい言語で人を煙に巻こうとするが、熱く語れる相手を誰よりも欲している。しかしそのことは絶対認めないツンデレ受け。

シャーロキアーナ:細かいトリビアはもちろんのこと、一般読者にはどうでもいいような箇所にもこだわる学者肌。探偵が何を何回いつ何秒に食べたか割り出すと股間が急速に熱くなる変態。パロディ作品にもあらゆる意味で寛容だが、独自解釈のない評論文など持ち出した日には突如オラオラ系に豹変。探偵の新解釈に飢えた獣ゆえにバリ攻め。

シャーロキアン:かなりライトな存在。探偵と助手っぽいやり取りであればたとえ名前がチンとポコでもキュンとくる節操なし。激論を交わしながらも熱い友情で結ばれているホームジアンとシャーロキアーナのやり取りでさえ股間がキャラバッシュ(注・ホームズの時代にはなかった曲がったパイプ)。ホームジアンの蔑みの眼差しにも萌え上がることのできる真の末期患者。

ワトソニアン:ちびでぶ可愛い。探偵崇拝がいきすぎた結果、何を間違ったか「そうだ。ワトソン君になればいいのだ!」と身の程知らずにも考えた。探偵のキャラを立たせるためならいくらでも無能になる。女体化はもちろん時にはお尻も与えるが本性は攻め。

ワトスニアン:聖典に沿ったワトスンを愛好するまともな紳士。探偵についても至極冷静に見ているため、数回に渡る同居解除や別の助手がいた事実も無視することはしない。パロディの類いには辟易しているが、パスティーシュの美化にもお疲れのご様子。

ドイリアン:一般的には存在しないと思われている絶滅危惧種。探偵が好きで他の作品も好き、他の作品が好きで探偵も好き、作品があろうがなかろうが好き、などなど幅広くドイルを愛している集合体。日本では地下アイドルACD48として地道な活動をしているが、ファーストシングル『恋するフェアリーテイル』の売上は『探偵オナホ ガッツリホールズ』の100000分の1。代表はボッチをこじらせ降霊術にハマっている。



※以下は最初の即席SS。ちなみに管理人も2013年時点で『絹の家』未読です。



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「コナン・ドイル財団公式『絹の家』? あれは何なのだ、全く。公式と謳われてはいるがこれこれこうこう、ちっともなっとらんじゃないか! 俺の期待と金を返せ!」

 全身に怒りを滲ませホームジアンは歯ぎしりをしながらうめいた。がばっと酒を煽る。

「さすがだね、ホームジアン。君の熱意と知識にはいつだって脱帽だよ。しかしあのパスティーシュは非常によくできていた。私は好きだな」

 微笑みの貴公子シャーロキアーナは静かに口を弛めた。

 ホームジアンはぐっと息をつめた。地道に探偵研究を進めてきたシャーロキアーナのことは尊敬しているのだ。

「僕はまだ読んでないからわからないなぁ。今から楽しみだよ。シルク・ド・ホームズだなんてシルク・ド・ソレイユみたいで面白そうだね」

 シャーロキアンは場を和ませる一言を吐いた。しかしこれがホームジアンの逆鱗に触れた。

「きさま……まだ。読んでない。だと? しかもなんだその邦訳を無理やり再翻訳したようなタイトルは! ふざけるなっ!」

「す、すまない。別に悪気はなかったんだが」

 シャーロキアンはしょぼんとこうべを垂れた。

「本当にすまない。ホームジアン。でも怒らないでくれよ? 僕の頭では君のさっきの批評が『これこれこうこう』に聞こえたのだ。つまり半分も理解できなかった」

「……っ。二人して俺を馬鹿にしているのか」

 シャーロキアーナが二人の間に割って入った。

「そんなわけないだろう。シャーロキアンはまだ読んでいないと言っただけだ。人の楽しみや感動に水を差すのはいただけないね、ホームジアン」

 ホームジアンはぼそぼそと何かを呟いた。シャーロキアンは聞き返したが、ホームジアンはぷいっと酒に向き直った。それを聞き取ったシャーロキアーナはひそかに笑みを隠した。

 今日の酒代は俺の奢りだと言いはるホームジアンを見て、シャーロキアンも気づいた。あれは謝罪の言葉だったのだ。

 にやつくシャーロキアンとシャーロキアーナにホームジアンはまた苛立ちをぶつけた。


 その夜の寝言で探偵の名前を一番多くささやいたのが誰かは言うまでもない。


End.

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