現代銃と娘ちゃん
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【君が、パパによく似てるから】
「マスターちゃんは僕が嫌い?」
「なぜそんなことを訊くの」彼女はきゅるちゅの問いかけに、笑って答えた。「嫌いなわけないじゃない」
「だって、僕たちのせいで、パパは死んじゃったから」
彼女の顔から笑みが消える。
微笑んでいた唇はみるみる色を無くし、瞳に驚愕と動揺の色が激しく映る。
「僕は、パパを苦しめてたんだよね。それで、マスターちゃんのことも苦しめた。ねぇ、僕のこと恨んでる?」
「きゅるちゅ、やめて。お願い」
彼女の瞳は、懇願するように彼の姿を映し出す。
「そんなこと、私の口から言わせないで」
苦悶の表情を浮かべた彼女に、きゅるちゅはそっと細く笑む。
知ってるよ。マスターちゃんは、僕たち貴銃士が憎いんだ。
唯一の血の繋がった家族、最愛の父親を、死の影が迫るまで追い詰めて、蝕んでいたのは僕たちだから。
なのに彼女は、僕たち貴銃士のマスターとして、気丈に振る舞ってくれている。
なんて優しい。
その優しさの仮面を剥がして、剥き出しの脆い心を傷つけたい。
もっともっと苦しめて、壊してみたい。
だってこれが、僕のマスターちゃんに対する愛だから!
***
「マスターちゃんは酷いよ」
君にとって、僕らは十人のうちの一人なんでしょ。誰か一人が消えて居なくなっちゃっても、他の誰かが側に居る。僕らはいつも、誰かの代わりなんだ。
僕らにとって、マスターはたったひとりなのに。
「ねぇ、僕のこと恨んでる?」
数年前、同じ問いかけをした気がする。
あの頃とは全く異なる意味を孕んでいるけれど。
「恨んでいないと言えば、嘘になるわね」
空を見つめて彼女が虚ろに発した言葉は、きゅるちゅの心を抉りとる。
きっとこれは仕返しだ。罰なんだ。
マスターちゃんが元気な頃、彼女の「美味しい思い出」を食べた僕への復讐だ。
「マスターちゃんは酷いよ」
きゅるちゅは、その大きな瞳に涙を溜めて呟いた。
「君もパパみたいに、僕の前から消えちゃうの?」
「ごめんなさい」
毛布の中から差し出された腕は細っそりと白く、彼の髪を絡めるように撫でる手の甲には薔薇の聖痕。この傷痕が元凶だ。今では見るたびに恨めしい。
顔を伏せるきゅるちゅの頭を撫でながら、でもね、と彼女は言葉を続けた。
「父は貴方達を希望と呼んだわ。自分の息子だとも。私はそんな貴方達を、父から託された。そのことを誇りに思ってる」
「貴方達のマスターになれて良かった。だから、この道を選んだことに悔いなんて無い。一つもね」
「だからおまえも、自分を責めなくていいのよ」
マスターちゃんは大馬鹿だ。
僕はこんなに悪い子なのに、君はどうしてそんなに強いの。
まるでパパみたいだ。パパも強くて、本当にかっこよかった。
やっぱり彼女は、僕の大好きだったパパにすごく似てる。
「僕は、マスターちゃんのことが憎かったよ」
パパがいなくなって、代わりに彼女が僕らのマスターになった。急過ぎだよ。受け入れられるわけなかったのに。
「でもね。マスターちゃんと一緒にいると、パパのことを思い出せるの」
「パパはもういないのに、側にいてくれているような気になるの。それってやっぱり、マスターちゃんがパパの子供だからかなぁ」
子は親に似るって本当なんだね。
人間って、不思議だね。
繰り返される命が永遠と呼ばれるならば、
僕はもうそんなものいらないよ。
この世界がパパとマスターちゃんを葬るのなら、僕もこんな世界捨ててやる。
心中だ、と彼女は笑った。
それが、僕にできる彼女への贖罪だ。
___
・マスターちゃんの子供が欲しいだけ
「マスターちゃんは女の人だから、子供を産めるんでしょ? 産んでよ、子供!」
「僕、マスターちゃんの子供欲しい!」
きゅるちゅに他意はないことを彼女は知っている。おそらく「弟が欲しい」「妹が欲しい」と両親に駄々をこねる感覚で言っているだけだ。
無邪気にはしゃぐ貴銃士に、やれやれと彼女は微笑んだ。
「その言い方は、他所ではしないことね。変に誤解されるから」
「え、なんで?」彼はキョトンと目を丸くする。
「あれ? でも、子供ってどうしたらできるんだろう??」
ねえマスターちゃん、知ってる?ときゅるちゅは愛くるしい声で尋ねた。
彼女が答えに窮してしまったのは、言うまでもない。
・別に羨ましいとか思ってねぇからっ!!
「きゅるちゅ、マスターちゃんのことだぁ〜い好き!」
がばっと両手を広げて、彼女に遠慮なく抱きつく貴銃士。こんな風に彼女にベタベタと物理で甘えられるのは、きゅるちゅくらいなものである。
「テメェ、さっさと離れろ」
腰に腕を回し、ぎゅうっと体を押し付けて彼女に密着しているきゅるちゅは、89の苛立った声音にふふんと目を細めた。
「89ってば、僕がマスターちゃんに甘えてるから焼きもちなんでしょ〜」
「っハァ!!?」89の顔がみるみる茹でダコのようになる。首まで真っ赤にして渾身の叫び声を上げた。
「ちっっっげーーーよ!!」
「うわ、やばーい♡ マジレスウケる〜」
「ブッ殺すぞ!!!」
(仲良いわね…)
二人が撃ち合いを始めても、彼女には戯れ合いにしか見えない。
・ウチのきゅるちゅちゃんは最強かもしれない
きゅるちゅに嵌められてマスターちゃんに窘められたファルさんはお怒りです。
「自慢の愛らしいお顔をぐちゃぐちゃにされたいんですか?」
「ちょっとぉ! ファルちゃんが激おこじゃない!」
通りすがりのエフは、世にも恐ろしい兄の正体にひいっと小さく縮こまり、きゅるちゅの腕にしがみついた。
「アンタ何したのよ、きゅるちゅ」
「べっつにぃ。ファルはマスターちゃんに叱られたから拗ねてるんだよ。大人気ないよね〜」
ファルちゃんがあの子に?
「いやだわ何それ。超見てみたい!」
「黙れ愚弟」
「エフ、言ってる事と思ってる事が逆になってるよ♡」
いつも意地悪ばかりしていると、身に覚えのない嫌疑をかけられるんだよ、というきゅるちゅからのお餞別。
「マスターちゃんは僕が嫌い?」
「なぜそんなことを訊くの」彼女はきゅるちゅの問いかけに、笑って答えた。「嫌いなわけないじゃない」
「だって、僕たちのせいで、パパは死んじゃったから」
彼女の顔から笑みが消える。
微笑んでいた唇はみるみる色を無くし、瞳に驚愕と動揺の色が激しく映る。
「僕は、パパを苦しめてたんだよね。それで、マスターちゃんのことも苦しめた。ねぇ、僕のこと恨んでる?」
「きゅるちゅ、やめて。お願い」
彼女の瞳は、懇願するように彼の姿を映し出す。
「そんなこと、私の口から言わせないで」
苦悶の表情を浮かべた彼女に、きゅるちゅはそっと細く笑む。
知ってるよ。マスターちゃんは、僕たち貴銃士が憎いんだ。
唯一の血の繋がった家族、最愛の父親を、死の影が迫るまで追い詰めて、蝕んでいたのは僕たちだから。
なのに彼女は、僕たち貴銃士のマスターとして、気丈に振る舞ってくれている。
なんて優しい。
その優しさの仮面を剥がして、剥き出しの脆い心を傷つけたい。
もっともっと苦しめて、壊してみたい。
だってこれが、僕のマスターちゃんに対する愛だから!
***
「マスターちゃんは酷いよ」
君にとって、僕らは十人のうちの一人なんでしょ。誰か一人が消えて居なくなっちゃっても、他の誰かが側に居る。僕らはいつも、誰かの代わりなんだ。
僕らにとって、マスターはたったひとりなのに。
「ねぇ、僕のこと恨んでる?」
数年前、同じ問いかけをした気がする。
あの頃とは全く異なる意味を孕んでいるけれど。
「恨んでいないと言えば、嘘になるわね」
空を見つめて彼女が虚ろに発した言葉は、きゅるちゅの心を抉りとる。
きっとこれは仕返しだ。罰なんだ。
マスターちゃんが元気な頃、彼女の「美味しい思い出」を食べた僕への復讐だ。
「マスターちゃんは酷いよ」
きゅるちゅは、その大きな瞳に涙を溜めて呟いた。
「君もパパみたいに、僕の前から消えちゃうの?」
「ごめんなさい」
毛布の中から差し出された腕は細っそりと白く、彼の髪を絡めるように撫でる手の甲には薔薇の聖痕。この傷痕が元凶だ。今では見るたびに恨めしい。
顔を伏せるきゅるちゅの頭を撫でながら、でもね、と彼女は言葉を続けた。
「父は貴方達を希望と呼んだわ。自分の息子だとも。私はそんな貴方達を、父から託された。そのことを誇りに思ってる」
「貴方達のマスターになれて良かった。だから、この道を選んだことに悔いなんて無い。一つもね」
「だからおまえも、自分を責めなくていいのよ」
マスターちゃんは大馬鹿だ。
僕はこんなに悪い子なのに、君はどうしてそんなに強いの。
まるでパパみたいだ。パパも強くて、本当にかっこよかった。
やっぱり彼女は、僕の大好きだったパパにすごく似てる。
「僕は、マスターちゃんのことが憎かったよ」
パパがいなくなって、代わりに彼女が僕らのマスターになった。急過ぎだよ。受け入れられるわけなかったのに。
「でもね。マスターちゃんと一緒にいると、パパのことを思い出せるの」
「パパはもういないのに、側にいてくれているような気になるの。それってやっぱり、マスターちゃんがパパの子供だからかなぁ」
子は親に似るって本当なんだね。
人間って、不思議だね。
繰り返される命が永遠と呼ばれるならば、
僕はもうそんなものいらないよ。
この世界がパパとマスターちゃんを葬るのなら、僕もこんな世界捨ててやる。
心中だ、と彼女は笑った。
それが、僕にできる彼女への贖罪だ。
___
・マスターちゃんの子供が欲しいだけ
「マスターちゃんは女の人だから、子供を産めるんでしょ? 産んでよ、子供!」
「僕、マスターちゃんの子供欲しい!」
きゅるちゅに他意はないことを彼女は知っている。おそらく「弟が欲しい」「妹が欲しい」と両親に駄々をこねる感覚で言っているだけだ。
無邪気にはしゃぐ貴銃士に、やれやれと彼女は微笑んだ。
「その言い方は、他所ではしないことね。変に誤解されるから」
「え、なんで?」彼はキョトンと目を丸くする。
「あれ? でも、子供ってどうしたらできるんだろう??」
ねえマスターちゃん、知ってる?ときゅるちゅは愛くるしい声で尋ねた。
彼女が答えに窮してしまったのは、言うまでもない。
・別に羨ましいとか思ってねぇからっ!!
「きゅるちゅ、マスターちゃんのことだぁ〜い好き!」
がばっと両手を広げて、彼女に遠慮なく抱きつく貴銃士。こんな風に彼女にベタベタと物理で甘えられるのは、きゅるちゅくらいなものである。
「テメェ、さっさと離れろ」
腰に腕を回し、ぎゅうっと体を押し付けて彼女に密着しているきゅるちゅは、89の苛立った声音にふふんと目を細めた。
「89ってば、僕がマスターちゃんに甘えてるから焼きもちなんでしょ〜」
「っハァ!!?」89の顔がみるみる茹でダコのようになる。首まで真っ赤にして渾身の叫び声を上げた。
「ちっっっげーーーよ!!」
「うわ、やばーい♡ マジレスウケる〜」
「ブッ殺すぞ!!!」
(仲良いわね…)
二人が撃ち合いを始めても、彼女には戯れ合いにしか見えない。
・ウチのきゅるちゅちゃんは最強かもしれない
きゅるちゅに嵌められてマスターちゃんに窘められたファルさんはお怒りです。
「自慢の愛らしいお顔をぐちゃぐちゃにされたいんですか?」
「ちょっとぉ! ファルちゃんが激おこじゃない!」
通りすがりのエフは、世にも恐ろしい兄の正体にひいっと小さく縮こまり、きゅるちゅの腕にしがみついた。
「アンタ何したのよ、きゅるちゅ」
「べっつにぃ。ファルはマスターちゃんに叱られたから拗ねてるんだよ。大人気ないよね〜」
ファルちゃんがあの子に?
「いやだわ何それ。超見てみたい!」
「黙れ愚弟」
「エフ、言ってる事と思ってる事が逆になってるよ♡」
いつも意地悪ばかりしていると、身に覚えのない嫌疑をかけられるんだよ、というきゅるちゅからのお餞別。