ツン甘貴銃士
【ハート全部持ってかれた。】
「ただいま……」
「マスターチャン! 遅くなるなら連絡一つくれてもいいんじゃない?」
「ごめんなさい。スマホの電源切れちゃって」
「連絡くれたら迎えに行ったのに〜。おちおち実験もできないよ」
「そんな全力待機してくれてたの? あら、ご飯まで出来てる。しかも私の食べたかったオムライス!」
「え〜〜〜真似しないでくれる? ボクちゃんが食べたいもの作っただけなんだけどね〜」
「ちょっと何その青い物体。ケチャップ? ケチャップなの??」
「ボクちゃんが開発した青いケチャップだよ。ダイジョーブ、味は普通のケチャップだから」
「歪みないわね、おまえ…」
「当然でしょ。赤い食べ物はこの世から全て排除すべきさ」
ホクサイはスープを注ぎにキッチンへ消えてゆく。まさか次は真っ青なスープが出てくるんじゃなかろうな、と恐ろしくなったため、何か楽しい事をしようと考えた。
(オムライスに何か書こうかな……)
彼女は絵の具のように真っ青なケチャップの容器を手にとり、黄金色に輝く卵に文字を書き始めた。もちろん青い文字だ。
(こういうのって、本当は赤い色で伝えるものだと思うのだけど……)
「何やってるの」
両手にスープを持った彼が、彼女の背後から声を掛ける。
「あっ」スープ注ぐの早っ!と驚いた彼女が、目を丸くして振り向いた。
「もう…、タイミング悪いんだから」
彼女は、彼の分のオムライスに「すき♡」と書いて笑っていた。最後のハートの中を塗り潰そうとしていたらしい。
「ホクサイのこと、驚かせようと思ったの」
「…………それ、ボクちゃんが苦労して開発したケチャップだから、無駄遣いしないでくれるかな」
「まあ、そうくるのね。逆に驚かされたわ」
食べる前に写真撮ろう、青いケチャップなんて珍しいもの、と呟いて彼女は充電中のスマホを取りに部屋を出て行く。
「……………」
ホクサイは迷彩のツナギのポケットからすっとスマホを取り出し、馴れた手つきでカメラアプリを開く。
(はあ〜〜〜無理無理!! キュンとし過ぎて驚くどころか、ボクちゃんのハート全部持っていかれたよおおおおおおお!!!!!!)
カシャシャシャシャシャと彼女が投下したオムライス爆弾を様々な角度で連写して、そのトキメキを噛み締めていた。
「ホクサイ、食べないの?」
「食べるよ。ウン」ホクサイは、スプーンを持つ手を微かに震わせながらツンと答えた。
「いますぐ食べる」
しかし、「すき♡」と書かれたオムライスに、彼はスプーンを刺すことがどうしてもできない。見れば見るほど可愛さにきゅきゅんやられる。これを食べることがしんどい。
「青いケチャップがもったいなくて食べられないのね?」ふふっと彼女は可笑しそうに笑い、「食べないなら頂くわ」と彼のオムライスに容赦なくスプーンを突き立てた。
あああああっーーー!!!
「うん、美味しい。やっぱり味は普通のケチャップね。良かった」
彼の気持ちをつゆ知らず、彼女はオムライスを頬張って満足そうに頷いた。
「ただいま……」
「マスターチャン! 遅くなるなら連絡一つくれてもいいんじゃない?」
「ごめんなさい。スマホの電源切れちゃって」
「連絡くれたら迎えに行ったのに〜。おちおち実験もできないよ」
「そんな全力待機してくれてたの? あら、ご飯まで出来てる。しかも私の食べたかったオムライス!」
「え〜〜〜真似しないでくれる? ボクちゃんが食べたいもの作っただけなんだけどね〜」
「ちょっと何その青い物体。ケチャップ? ケチャップなの??」
「ボクちゃんが開発した青いケチャップだよ。ダイジョーブ、味は普通のケチャップだから」
「歪みないわね、おまえ…」
「当然でしょ。赤い食べ物はこの世から全て排除すべきさ」
ホクサイはスープを注ぎにキッチンへ消えてゆく。まさか次は真っ青なスープが出てくるんじゃなかろうな、と恐ろしくなったため、何か楽しい事をしようと考えた。
(オムライスに何か書こうかな……)
彼女は絵の具のように真っ青なケチャップの容器を手にとり、黄金色に輝く卵に文字を書き始めた。もちろん青い文字だ。
(こういうのって、本当は赤い色で伝えるものだと思うのだけど……)
「何やってるの」
両手にスープを持った彼が、彼女の背後から声を掛ける。
「あっ」スープ注ぐの早っ!と驚いた彼女が、目を丸くして振り向いた。
「もう…、タイミング悪いんだから」
彼女は、彼の分のオムライスに「すき♡」と書いて笑っていた。最後のハートの中を塗り潰そうとしていたらしい。
「ホクサイのこと、驚かせようと思ったの」
「…………それ、ボクちゃんが苦労して開発したケチャップだから、無駄遣いしないでくれるかな」
「まあ、そうくるのね。逆に驚かされたわ」
食べる前に写真撮ろう、青いケチャップなんて珍しいもの、と呟いて彼女は充電中のスマホを取りに部屋を出て行く。
「……………」
ホクサイは迷彩のツナギのポケットからすっとスマホを取り出し、馴れた手つきでカメラアプリを開く。
(はあ〜〜〜無理無理!! キュンとし過ぎて驚くどころか、ボクちゃんのハート全部持っていかれたよおおおおおおお!!!!!!)
カシャシャシャシャシャと彼女が投下したオムライス爆弾を様々な角度で連写して、そのトキメキを噛み締めていた。
「ホクサイ、食べないの?」
「食べるよ。ウン」ホクサイは、スプーンを持つ手を微かに震わせながらツンと答えた。
「いますぐ食べる」
しかし、「すき♡」と書かれたオムライスに、彼はスプーンを刺すことがどうしてもできない。見れば見るほど可愛さにきゅきゅんやられる。これを食べることがしんどい。
「青いケチャップがもったいなくて食べられないのね?」ふふっと彼女は可笑しそうに笑い、「食べないなら頂くわ」と彼のオムライスに容赦なくスプーンを突き立てた。
あああああっーーー!!!
「うん、美味しい。やっぱり味は普通のケチャップね。良かった」
彼の気持ちをつゆ知らず、彼女はオムライスを頬張って満足そうに頷いた。