side story
【顔のわりに小さな】
「マスター? どーしたの」
パラソルの下でパーカーを羽織ったまま、座り込んで海を眺めている彼女に、ラブワンは問いかける。まるで、プールサイドで授業を見学している体調不良の生徒みたいだった。
「海に入るのは好きじゃないの。焼けるし、海藻臭いし。眺めてるのが一番よ」
「え〜? せっかく来たのに、もったいないじゃん」
よっこらしょ、と彼女の隣にラブワンも腰掛ける。海ではしゃぐ仲間の貴銃士たちを眺めつつ、ちらりと横目で彼女を見やる。
「パーカーなんか着て暑そうじゃん? 脱げばいーのに」
パーカーの下が水着であることを、ラブワンは知っている。彼女の水着姿が見たい。なぜって、その水着は、ラブワンが弟のライクツーと一緒に選んで、マスターにプレゼントした物だからだ。
「……脱ぎたくない」マスターは言いにくそうにぼそりと呟く。
「ふ〜ん。日焼けするから?」
「裸を見られたくないの」
ラブワンはきょとんと目を丸くして、不思議そうに首を傾げた。
「……水着だよ?」
「裸みたいなものでしょう?」彼女は呆れたように答える。
「そ〜お?」水着と裸を一括りにする彼女の考えに、ラブワンは笑った。
「全然違うじゃ〜ん★」
「どういう意味?」
じいっと、彼女が怪訝な瞳を向ける。眉間に皺が寄っていて、機嫌が悪そうだった。
「あっはっは。何でもないよ〜ん」
「水着だと、みんなじろじろ見るでしょ。それが嫌なの」
「じろじろ見るのなんて、あったり前じゃん。オイラだって見たいよ。マスターの水着」
「え?」彼女が目を丸くする。
「っと、いうことで!!」
ラブワンはがしりと彼女の腕を掴んで引き寄せ、星型サングラスを片手で外して、にやりと笑った。
「脱がしちゃうよん♡」
彼女のパーカーのファスナーに手をかけ、ジッと一気に下ろしてしまう。
「ちょっと!!」
慌てて制止する彼女だが、時すでに遅し。
露わになったのは、淡い黄緑色の爽やかなビキニ。彼女の白い肌によく似合っていて、ラブワンはひゅうっと口笛を鳴らした。
「やっぱオイラの見立て通りじゃ〜ん」マスターには淡い色が映える。そう言って弟と選び抜いた、とっておきの水着だった。「似合ってるよん♡ マスターちゃん!」
「き、急に、何するの」
突然パーカーを脱がされたことや、水着姿を褒められたことに動揺して、しどろもどろに彼女が告げる。
あ〜、なんかそういう反応、スッゴイ唆る……
うん、まあ、唆るんだけどさぁ……などと思いながら、ラブワンは彼女のある一点を凝視していた。
「……ラブワン?」彼女の眉間に刻まれた皺が深くなる。「貴方、何処を見ているの」
「え? あ〜、いや」ラブワンは、掴んでいた彼女の腕を優しく離して、空いた片手で頭を掻いた。
「マスターちゃん、顔のわりに小さいお胸だな〜とオイラ思っちゃった★」
てへっと舌を出し、「そんな意外性も可愛いけどね!」などと、今更許してもらおうと媚びるラブワン。
「ジャムれ」彼女は冷たく言い放った。
「だから脱ぎたくなかったのよ」
「マスター、何でパーカーなんか着てるのかしらねぇ」
「貧相な胸を見られたくねーんじゃねーの?」
砂浜でビーチバレーに興じていたエフとベルガーが、パラソルの下の彼女を遠く眺めて、そう会話する。
ぱあんと乾いた音がした。
「マスターさんは美乳なんだよ」
ベルガーの『貧相な胸』という表現に怒りを覚えたライクツーが、ビーチボールを握り潰した音だった。
「マスター? どーしたの」
パラソルの下でパーカーを羽織ったまま、座り込んで海を眺めている彼女に、ラブワンは問いかける。まるで、プールサイドで授業を見学している体調不良の生徒みたいだった。
「海に入るのは好きじゃないの。焼けるし、海藻臭いし。眺めてるのが一番よ」
「え〜? せっかく来たのに、もったいないじゃん」
よっこらしょ、と彼女の隣にラブワンも腰掛ける。海ではしゃぐ仲間の貴銃士たちを眺めつつ、ちらりと横目で彼女を見やる。
「パーカーなんか着て暑そうじゃん? 脱げばいーのに」
パーカーの下が水着であることを、ラブワンは知っている。彼女の水着姿が見たい。なぜって、その水着は、ラブワンが弟のライクツーと一緒に選んで、マスターにプレゼントした物だからだ。
「……脱ぎたくない」マスターは言いにくそうにぼそりと呟く。
「ふ〜ん。日焼けするから?」
「裸を見られたくないの」
ラブワンはきょとんと目を丸くして、不思議そうに首を傾げた。
「……水着だよ?」
「裸みたいなものでしょう?」彼女は呆れたように答える。
「そ〜お?」水着と裸を一括りにする彼女の考えに、ラブワンは笑った。
「全然違うじゃ〜ん★」
「どういう意味?」
じいっと、彼女が怪訝な瞳を向ける。眉間に皺が寄っていて、機嫌が悪そうだった。
「あっはっは。何でもないよ〜ん」
「水着だと、みんなじろじろ見るでしょ。それが嫌なの」
「じろじろ見るのなんて、あったり前じゃん。オイラだって見たいよ。マスターの水着」
「え?」彼女が目を丸くする。
「っと、いうことで!!」
ラブワンはがしりと彼女の腕を掴んで引き寄せ、星型サングラスを片手で外して、にやりと笑った。
「脱がしちゃうよん♡」
彼女のパーカーのファスナーに手をかけ、ジッと一気に下ろしてしまう。
「ちょっと!!」
慌てて制止する彼女だが、時すでに遅し。
露わになったのは、淡い黄緑色の爽やかなビキニ。彼女の白い肌によく似合っていて、ラブワンはひゅうっと口笛を鳴らした。
「やっぱオイラの見立て通りじゃ〜ん」マスターには淡い色が映える。そう言って弟と選び抜いた、とっておきの水着だった。「似合ってるよん♡ マスターちゃん!」
「き、急に、何するの」
突然パーカーを脱がされたことや、水着姿を褒められたことに動揺して、しどろもどろに彼女が告げる。
あ〜、なんかそういう反応、スッゴイ唆る……
うん、まあ、唆るんだけどさぁ……などと思いながら、ラブワンは彼女のある一点を凝視していた。
「……ラブワン?」彼女の眉間に刻まれた皺が深くなる。「貴方、何処を見ているの」
「え? あ〜、いや」ラブワンは、掴んでいた彼女の腕を優しく離して、空いた片手で頭を掻いた。
「マスターちゃん、顔のわりに小さいお胸だな〜とオイラ思っちゃった★」
てへっと舌を出し、「そんな意外性も可愛いけどね!」などと、今更許してもらおうと媚びるラブワン。
「ジャムれ」彼女は冷たく言い放った。
「だから脱ぎたくなかったのよ」
「マスター、何でパーカーなんか着てるのかしらねぇ」
「貧相な胸を見られたくねーんじゃねーの?」
砂浜でビーチバレーに興じていたエフとベルガーが、パラソルの下の彼女を遠く眺めて、そう会話する。
ぱあんと乾いた音がした。
「マスターさんは美乳なんだよ」
ベルガーの『貧相な胸』という表現に怒りを覚えたライクツーが、ビーチボールを握り潰した音だった。