強さの証明
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それから私は次々に対戦相手の男たちを薙ぎ倒し、ついに決勝の舞台へとたどり着いた。
相手はもちろんラッパー。
だけど私は怯まない。
強さを証明するために、私はここまで戦い抜いてきたんだ。
司会が大袈裟な口調で入場コールを唱えた。
「さあ来たぞ、拍手で迎えろ!次なる戦士の登場だ!小柄だけど、実力はお墨付き!誰がここまで勝ち上がると予想していたか!5戦全勝──“ベネチアン”!!」
今では私が小柄だから、と油断する者はいない。
これでようやく正々堂々と実力勝負ができる。
私はラッパーを睨みつけながらリングへと入場した。
「対するは、神に逢っては神を殴り、仏にあっては仏を殴り、人に逢ったら死ぬまで殴る!制御不能の鉄拳機関車!20戦全勝──“THE RAPPER ”!!」
ラッパーはシャドーボクシングでシュッシュッと殴る素振りをしながら入場。
彼の試合を観ていて思ったけれど、恐らく強靭な肩がヤツの個性。
「うおー!楽しく殴り合いしようや!」
「……やだ」
私は即座に断る。
だって、私の戦闘スタイルは殴り合いじゃないから。
「そうかい、なら俺は俺の美学の下、不粋な輩を拳で裁く。つまり殺す!!」
会場がどよめく中、ゴングが鳴る。
ラッパーは最初から全力だった。
「おおっとラッパー!初弾から殺人連打 !!」
まるで弾幕のようなパンチが降りかかる。
強烈なパワーと、それを繰り広げられるだけの体格で、まともに食らえば一撃で沈むだろう。
だけど、当たらなければどうってことはない。
私はそれらを軽やかに受け流す。
全ての攻撃を交わし、反撃の狼煙を上げた。
手始めに自慢の肩周辺の急所。
正確な突きをお見舞いしてやった。
人型はこれだから戦いやすい。
「ラッパー!手も足もでないか?!」
審判は興奮気味に叫ぶけれど、私の突きが何度も入っているはずのラッパーの表情は、まるで変わらない。
一撃で決められた予選のヤツらとは違う。
「いいぞ!アンタはいいチビだ!」
「!?」
私は両腕をいきなり絡め取られた。
ラッパーの強靭な腕で肩関節が容赦なく捻じ切られる。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁァァァッッッ!!」
私の方が何度も肩の急所をついたのに、なんでたった一撃で……。
「うっ……ぐっ……っっ!」
劇痛で私の顔が歪む。
痛い、腕が上がらない。
それでも止めてくれる者は誰もいない。
観客たちは狂気じみた歓声を上げ、さらなる激震を期待して囃し立てる。
「さて、そろそろ終いにするか」
ラッパーの声が遠くで響き、返事もできないほどの痛みで頭が真っ白になる。
そして、宣言通りに放たれたラッパーの渾身のパンチが胸元にクリーンヒットした。
「かはっ……っっ!」
呼吸が止まるほどの衝撃。
受け身も取れず、私の身体は金網まで吹き飛ばされた。
全身が悲鳴を上げる、逃げたい。
そんな弱気が心に浮かぶ。
だけど、せめて最後まで戦い通したい。
なぜなら、これでも私はヒーローの卵だから。
「こ……こんなところで……負けてたまるか」
虚勢だと自分でも分かっている。
でも、折れそうな自分を鼓舞したくて強がった。
「優勝しないと……意味が……」
痛む体を引きずり、じりじりと這うようにリングへ戻る。
まるで芋虫のようで滑稽な様。
笑いたければ笑えばいい。
だけど、ようやくリングへ戻ると、ラッパーは自らの拳をじっと見つめていた。
そして、私を見て驚愕する。
「お、女だったのか、てめぇ……」
「?!」
トドメの一撃で、彼は私の胸の感触に気が付いたらしい。
胸元を見ると、連戦の末にさらしが緩んでいた。
だとしても、
「だったら悪いか……?」
「いや、悪いとかじゃなくて……」
「予選だって男共を戦って負かしてやった。さあ、早く続きをやろう。手加減したら許さない」
散々女だって男をぶっ倒すと豪語してきた。
だから、逆に全力で殴られる覚悟だってしている。
両腕がダメでもフェイントなら使える。
足刀で急所だって突くことができる。
格好ばかりの構えをした。
「うっ」
だけど、痛みでよろけると、いつの間にかラッパーが私の間合いに入っていた。
「!?」
次の瞬間、首元に痛みが走り、視界が暗転していく。
意識が遠ざかる中、私は己の未熟さを悔いた。
相手はもちろんラッパー。
だけど私は怯まない。
強さを証明するために、私はここまで戦い抜いてきたんだ。
司会が大袈裟な口調で入場コールを唱えた。
「さあ来たぞ、拍手で迎えろ!次なる戦士の登場だ!小柄だけど、実力はお墨付き!誰がここまで勝ち上がると予想していたか!5戦全勝──“ベネチアン”!!」
今では私が小柄だから、と油断する者はいない。
これでようやく正々堂々と実力勝負ができる。
私はラッパーを睨みつけながらリングへと入場した。
「対するは、神に逢っては神を殴り、仏にあっては仏を殴り、人に逢ったら死ぬまで殴る!制御不能の鉄拳機関車!20戦全勝──“
ラッパーはシャドーボクシングでシュッシュッと殴る素振りをしながら入場。
彼の試合を観ていて思ったけれど、恐らく強靭な肩がヤツの個性。
「うおー!楽しく殴り合いしようや!」
「……やだ」
私は即座に断る。
だって、私の戦闘スタイルは殴り合いじゃないから。
「そうかい、なら俺は俺の美学の下、不粋な輩を拳で裁く。つまり殺す!!」
会場がどよめく中、ゴングが鳴る。
ラッパーは最初から全力だった。
「おおっとラッパー!初弾から殺人
まるで弾幕のようなパンチが降りかかる。
強烈なパワーと、それを繰り広げられるだけの体格で、まともに食らえば一撃で沈むだろう。
だけど、当たらなければどうってことはない。
私はそれらを軽やかに受け流す。
全ての攻撃を交わし、反撃の狼煙を上げた。
手始めに自慢の肩周辺の急所。
正確な突きをお見舞いしてやった。
人型はこれだから戦いやすい。
「ラッパー!手も足もでないか?!」
審判は興奮気味に叫ぶけれど、私の突きが何度も入っているはずのラッパーの表情は、まるで変わらない。
一撃で決められた予選のヤツらとは違う。
「いいぞ!アンタはいいチビだ!」
「!?」
私は両腕をいきなり絡め取られた。
ラッパーの強靭な腕で肩関節が容赦なく捻じ切られる。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁァァァッッッ!!」
私の方が何度も肩の急所をついたのに、なんでたった一撃で……。
「うっ……ぐっ……っっ!」
劇痛で私の顔が歪む。
痛い、腕が上がらない。
それでも止めてくれる者は誰もいない。
観客たちは狂気じみた歓声を上げ、さらなる激震を期待して囃し立てる。
「さて、そろそろ終いにするか」
ラッパーの声が遠くで響き、返事もできないほどの痛みで頭が真っ白になる。
そして、宣言通りに放たれたラッパーの渾身のパンチが胸元にクリーンヒットした。
「かはっ……っっ!」
呼吸が止まるほどの衝撃。
受け身も取れず、私の身体は金網まで吹き飛ばされた。
全身が悲鳴を上げる、逃げたい。
そんな弱気が心に浮かぶ。
だけど、せめて最後まで戦い通したい。
なぜなら、これでも私はヒーローの卵だから。
「こ……こんなところで……負けてたまるか」
虚勢だと自分でも分かっている。
でも、折れそうな自分を鼓舞したくて強がった。
「優勝しないと……意味が……」
痛む体を引きずり、じりじりと這うようにリングへ戻る。
まるで芋虫のようで滑稽な様。
笑いたければ笑えばいい。
だけど、ようやくリングへ戻ると、ラッパーは自らの拳をじっと見つめていた。
そして、私を見て驚愕する。
「お、女だったのか、てめぇ……」
「?!」
トドメの一撃で、彼は私の胸の感触に気が付いたらしい。
胸元を見ると、連戦の末にさらしが緩んでいた。
だとしても、
「だったら悪いか……?」
「いや、悪いとかじゃなくて……」
「予選だって男共を戦って負かしてやった。さあ、早く続きをやろう。手加減したら許さない」
散々女だって男をぶっ倒すと豪語してきた。
だから、逆に全力で殴られる覚悟だってしている。
両腕がダメでもフェイントなら使える。
足刀で急所だって突くことができる。
格好ばかりの構えをした。
「うっ」
だけど、痛みでよろけると、いつの間にかラッパーが私の間合いに入っていた。
「!?」
次の瞬間、首元に痛みが走り、視界が暗転していく。
意識が遠ざかる中、私は己の未熟さを悔いた。
