強さの証明
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数日後。
追加で仕入れた情報によると、地下闘技場の参加者は全員が覆面をしているらしい。
しかも、出場できるのは男性のみ。
それならば、こちらとしても願ってもない条件だ。
だから私は、男装して地下闘技場にエントリーした。
誰にもバレないよう、髪も短くまとめ、胸もさらしで抑える。
覆面は……昨年の文化祭で使ったベネチアンマスクが手元にあるから、それを使おう。
いざ、会場へ。
中華街の地下駐車場。
入り口の奥からは前にも感じた重低音が漏れ出ている。
分厚い鉄の扉を押し開けると、地下に広がる薄暗い空間は、まるで異世界のようだった。
会場中にざわめきと歓声がこだまする。
中央を金網で覆う簡素なリング。
それを囲うように覆面を被っている観客。
熱気に満ちた空気を感じつつ、私は静かに選手控え室へ足を運んだ。
控え室には、鍛え上げられた屈強な男たちがひしめき合っている。
彼らは目と目で牽制し合い、互いの闘志をむき出しにして威嚇し合っていた。
「今日の優勝は俺かな〜」
「はっ、何を抜かす。寝言は寝てから言え」
「弱いヤツほど吠えるもんだ……」
低く唸るような声が飛び交い、部屋の空気はピリピリと張り詰めている。
私は自分の心臓が静かに高鳴るのを感じながら、彼らの会話を横目に、ベンチに座りながら静かに順番を待った。
そのとき、不意に隣へドスッと男が腰掛けてきた。
黒色のやや鋭利な覆面を被った大柄な男。
恐らく2mはあるだろう。
覆面の後ろからはパーマの掛かった茶色の長髪が見える。
手にはメリケンサックとグローブを合わせたような装備。
それ故に逞しい剛腕を備えている。
そんな男が、私を値踏みするかのように話し掛けてきた。
「……なあ、アンタ。ここは初めてか?」
私はごく自然を装って、少し俯きながら答える。
「はい。アナタは?」
「俺はラッパー。そうだな……ここの“王”とでも言っておこうか」
「王……?」
なるほど。
この男の言っていることが本当かはさて置き、コイツを倒せば私が王、と言うことになる。
ラッパーと名乗った男はニヤリと笑ってベンチの背にもたれかかる。
「この中には血の気の多いヤツが多い。だけど、案外警戒しないといけないのは、静かに牙を研いでいるヤツだと思っている……。アンタ、その静かな方の人間か?」
私はラッパーの視線を受け止めつつ、とぼけた。
「さあね。それは手合わせしてみたら分かること」
「はははっ!違いない!」
豪快に笑うラッパー。
そのとき、係員の呼び出しの声が控え室に響いた。
「ベネチアン、スタンバイを!」
「はい」
ベネチアンとは私のこと。
マスクの名前から取った安直なリングネームだ。
立ち上がる私に、ラッパーは小さな声で言った。
「今度はリングで会おうや。消えるなよ」
不敵に笑う彼を尻目に、私は係員に付いて、入場した。
追加で仕入れた情報によると、地下闘技場の参加者は全員が覆面をしているらしい。
しかも、出場できるのは男性のみ。
それならば、こちらとしても願ってもない条件だ。
だから私は、男装して地下闘技場にエントリーした。
誰にもバレないよう、髪も短くまとめ、胸もさらしで抑える。
覆面は……昨年の文化祭で使ったベネチアンマスクが手元にあるから、それを使おう。
いざ、会場へ。
中華街の地下駐車場。
入り口の奥からは前にも感じた重低音が漏れ出ている。
分厚い鉄の扉を押し開けると、地下に広がる薄暗い空間は、まるで異世界のようだった。
会場中にざわめきと歓声がこだまする。
中央を金網で覆う簡素なリング。
それを囲うように覆面を被っている観客。
熱気に満ちた空気を感じつつ、私は静かに選手控え室へ足を運んだ。
控え室には、鍛え上げられた屈強な男たちがひしめき合っている。
彼らは目と目で牽制し合い、互いの闘志をむき出しにして威嚇し合っていた。
「今日の優勝は俺かな〜」
「はっ、何を抜かす。寝言は寝てから言え」
「弱いヤツほど吠えるもんだ……」
低く唸るような声が飛び交い、部屋の空気はピリピリと張り詰めている。
私は自分の心臓が静かに高鳴るのを感じながら、彼らの会話を横目に、ベンチに座りながら静かに順番を待った。
そのとき、不意に隣へドスッと男が腰掛けてきた。
黒色のやや鋭利な覆面を被った大柄な男。
恐らく2mはあるだろう。
覆面の後ろからはパーマの掛かった茶色の長髪が見える。
手にはメリケンサックとグローブを合わせたような装備。
それ故に逞しい剛腕を備えている。
そんな男が、私を値踏みするかのように話し掛けてきた。
「……なあ、アンタ。ここは初めてか?」
私はごく自然を装って、少し俯きながら答える。
「はい。アナタは?」
「俺はラッパー。そうだな……ここの“王”とでも言っておこうか」
「王……?」
なるほど。
この男の言っていることが本当かはさて置き、コイツを倒せば私が王、と言うことになる。
ラッパーと名乗った男はニヤリと笑ってベンチの背にもたれかかる。
「この中には血の気の多いヤツが多い。だけど、案外警戒しないといけないのは、静かに牙を研いでいるヤツだと思っている……。アンタ、その静かな方の人間か?」
私はラッパーの視線を受け止めつつ、とぼけた。
「さあね。それは手合わせしてみたら分かること」
「はははっ!違いない!」
豪快に笑うラッパー。
そのとき、係員の呼び出しの声が控え室に響いた。
「ベネチアン、スタンバイを!」
「はい」
ベネチアンとは私のこと。
マスクの名前から取った安直なリングネームだ。
立ち上がる私に、ラッパーは小さな声で言った。
「今度はリングで会おうや。消えるなよ」
不敵に笑う彼を尻目に、私は係員に付いて、入場した。
