食べると言う字
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成田さんに相談して以降、先輩芸人さんが後輩を連れて何回かバイト先にやってきた。
その度に私は福永さんがいないか探したけれど、やっぱりいない。
もちろん連絡だって来ていない。
そうこうしているうちに9月半ばになり、夏休みが終わった。
大学の講義が始まると、バイトは基本土日、もしくは講義が入っていない半日しか入れない。
その間に福永さんがお店に来たらどうしようかと気が気ではない。
精神だけがすり減る感じ。
そんな私を見かねて、成田さんはバイト終わりにご飯に誘ってくれた。
「気を遣わせちゃってすみません」
「いいっていいって!ここのレストラン行ってみたかったし」
そう言って連れてこられたのは、小洒落たイタリアンレストランだった。
バイト終わりなだけあって遅い時間でピーク時は過ぎている。
それでも店内はカップルはもちろん、家族連れも多かった。
メニューを見ると、意外にもリーズナブルな価格帯だったから、この客層にも頷ける。
その中でも一際大きく紹介されていたのが、
「パエリア……」
「シェアする?」
「あ、いえ……」
成田さんはそう言ってくれたけれど、食べたかったわけではない。
福永さんのネタを思い出しただけだ。
初めて見た彼のライブ……。
それなのに、
「いいから、いいから。私も食べたいし」
と問答無用で注文された。
ある程度料理が運ばれて来たところで食べ始めることにした。
「いただきまーす!」
「いただきます……」
あまり食欲はなかったけれど、パエリアを一口食べたところで口の中に広がる魚介の旨みとふっくらご飯が美味しすぎて、思わず声が漏れた。
「美味しっ……」
「ね!このパエリア美味しいよね!」
成田さんもパクパクとスプーンが進んでいる。
ーーーー
テーブルの上のお皿はすっかり空に。
どの料理も美味しかった。
「ちょっとお手洗いに……」
「はーい」
会計をする前にお手洗いに行くことにした。
その途中、厨房が見える場所を横切った。
鉄のフライパンを軽々と振ってパスタをソースと絡めていたり、ステーキにフランベをして香り付けをしている。
その中でもパエリアを作っているであろう人に目がいった。
猫背に猫目の男性。
「福永さん……?」
見間違いかと思ったけれど、どう見ても彼だ。
そんな福永さんと一瞬目が合った。
「あっ……」
私以上に驚いた様子の彼は気まずそうに目を逸らし、直ぐ様料理へと視線を戻した。
福永さんで間違いない。
仕事中だから仕方がないけれど、無視された事が酷くショックだった。
「……」
なんでこんなにも悲しいんだろう……。
胸が苦しい。
だけど、いつまでもここで立ち尽くしても邪魔になる。
私は沈んだ気持ちのままお手洗いへと向かった。
成田さんが待っている席に戻るまでに気持ちを切り替えないと。
その度に私は福永さんがいないか探したけれど、やっぱりいない。
もちろん連絡だって来ていない。
そうこうしているうちに9月半ばになり、夏休みが終わった。
大学の講義が始まると、バイトは基本土日、もしくは講義が入っていない半日しか入れない。
その間に福永さんがお店に来たらどうしようかと気が気ではない。
精神だけがすり減る感じ。
そんな私を見かねて、成田さんはバイト終わりにご飯に誘ってくれた。
「気を遣わせちゃってすみません」
「いいっていいって!ここのレストラン行ってみたかったし」
そう言って連れてこられたのは、小洒落たイタリアンレストランだった。
バイト終わりなだけあって遅い時間でピーク時は過ぎている。
それでも店内はカップルはもちろん、家族連れも多かった。
メニューを見ると、意外にもリーズナブルな価格帯だったから、この客層にも頷ける。
その中でも一際大きく紹介されていたのが、
「パエリア……」
「シェアする?」
「あ、いえ……」
成田さんはそう言ってくれたけれど、食べたかったわけではない。
福永さんのネタを思い出しただけだ。
初めて見た彼のライブ……。
それなのに、
「いいから、いいから。私も食べたいし」
と問答無用で注文された。
ある程度料理が運ばれて来たところで食べ始めることにした。
「いただきまーす!」
「いただきます……」
あまり食欲はなかったけれど、パエリアを一口食べたところで口の中に広がる魚介の旨みとふっくらご飯が美味しすぎて、思わず声が漏れた。
「美味しっ……」
「ね!このパエリア美味しいよね!」
成田さんもパクパクとスプーンが進んでいる。
ーーーー
テーブルの上のお皿はすっかり空に。
どの料理も美味しかった。
「ちょっとお手洗いに……」
「はーい」
会計をする前にお手洗いに行くことにした。
その途中、厨房が見える場所を横切った。
鉄のフライパンを軽々と振ってパスタをソースと絡めていたり、ステーキにフランベをして香り付けをしている。
その中でもパエリアを作っているであろう人に目がいった。
猫背に猫目の男性。
「福永さん……?」
見間違いかと思ったけれど、どう見ても彼だ。
そんな福永さんと一瞬目が合った。
「あっ……」
私以上に驚いた様子の彼は気まずそうに目を逸らし、直ぐ様料理へと視線を戻した。
福永さんで間違いない。
仕事中だから仕方がないけれど、無視された事が酷くショックだった。
「……」
なんでこんなにも悲しいんだろう……。
胸が苦しい。
だけど、いつまでもここで立ち尽くしても邪魔になる。
私は沈んだ気持ちのままお手洗いへと向かった。
成田さんが待っている席に戻るまでに気持ちを切り替えないと。
