食べると言う字
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それからと言うもの、たまに福永さんが出るライブを見に行ったり、福永さんも打ち上げや個人的にも私のバイト先で食事をするようになった。
今ではすっかり友達に。
ときには弱みを見せてくれることも。
お昼すぎの中途半端な空いている時間に福永さんが1人でやって来た。
「いらっしゃいませ〜」
「……」
「今日は元気ないですね」
いつもと様子の違う福永さんに、おしぼりとお冷を机に置きながら尋ねると、
「今日は全くウケなかった。ションボリおしぼり」
そう言いながらおしぼりで手を拭く。
励ましたいけれど、そんなときもありますよ!だとか、今日はたまたなだけで明日は大丈夫です!なんて無責任なことは言えない。
気の利いたことが言えないまま注文を受け、料理ができるのを待つ。
そんなとき、ふと今日の賄いで食べていいと言われていたおかずを思い出した。
それを小鉢に移し替えて、出来た料理と一緒に運び出す。
「お待たせ致しました」
料理とサービスの小鉢をコトリと机に置く。
小鉢の中には納豆が。
「仕事はこの納豆の様に粘り強くするものですよ!」
少し恥ずかしかったけれど、ファイティングポーズをして見せた。
福永さんはまじまじと納豆を見つめる。
心に響いたのかな?
そう思っていたのに、その日をきっかけに、福永さんが全くお店に来なくなった。
ライブの出演も教えてくれなくなったどころか、連絡も返ってこないことも多々。
せっかく仲良くなれたと思ったのに……。
例えるなら餌付けした猫が急に来てくれなくなった、そんな気分だ。
もしかして、まともに働いたことのない小娘にお節介を言われて腹が立ったのか。
理由が分からない……。
バイトの休憩中、バックヤードでスマホを弄っていた先輩である成田さんに相談することにした。
「成田さん、相談があるんですけど……」
「何?」
成田さんはスマホから目を離し、こちらへ視線を向けた。
「常連さんと仲良くなったと思ったら、急に来なくなるのって、なんでだと思いますか?」
「ん〜そうだなー……」
腕を組んで少し考えた後、1つの理由をあげた。
「認知されたのが気まづくなった、とか?」
「どういう意味ですか?」
「私の場合だけど、この間よく利用するコンビニの店員さんに、いつもこの時間に来ますねって初めて話しかけられて……」
「はい」
「なんか気まずくなって、それ以来そこのコンビニに行けなくなっちゃったんだよね」
「なるほど……」
成田さんの場合、話しかけられて直ぐに気まずさを覚えている。
でも私たちの場合は話しかけてからそこそこ時間が経っている。
気まずいのであれば初めて話しかけた、あの刺身をサービスした日をきっかけに来なくなるのではないのか。
それなのに、なんで打ち上げに誘ってくれたの?
なんで連絡先を交換してくれたの?
なんでライブ出演の日付を教えてくれたの?
私のこと面倒くさくなったの?
しばらくお店に来てくれたのはサービス目当て?
ライブに誘ってくれたのもチケットの売り上げ貢献に利用するため?
そうだと思いたくない。
考えれば考えるほど分からなくなる。
今ではすっかり友達に。
ときには弱みを見せてくれることも。
お昼すぎの中途半端な空いている時間に福永さんが1人でやって来た。
「いらっしゃいませ〜」
「……」
「今日は元気ないですね」
いつもと様子の違う福永さんに、おしぼりとお冷を机に置きながら尋ねると、
「今日は全くウケなかった。ションボリおしぼり」
そう言いながらおしぼりで手を拭く。
励ましたいけれど、そんなときもありますよ!だとか、今日はたまたなだけで明日は大丈夫です!なんて無責任なことは言えない。
気の利いたことが言えないまま注文を受け、料理ができるのを待つ。
そんなとき、ふと今日の賄いで食べていいと言われていたおかずを思い出した。
それを小鉢に移し替えて、出来た料理と一緒に運び出す。
「お待たせ致しました」
料理とサービスの小鉢をコトリと机に置く。
小鉢の中には納豆が。
「仕事はこの納豆の様に粘り強くするものですよ!」
少し恥ずかしかったけれど、ファイティングポーズをして見せた。
福永さんはまじまじと納豆を見つめる。
心に響いたのかな?
そう思っていたのに、その日をきっかけに、福永さんが全くお店に来なくなった。
ライブの出演も教えてくれなくなったどころか、連絡も返ってこないことも多々。
せっかく仲良くなれたと思ったのに……。
例えるなら餌付けした猫が急に来てくれなくなった、そんな気分だ。
もしかして、まともに働いたことのない小娘にお節介を言われて腹が立ったのか。
理由が分からない……。
バイトの休憩中、バックヤードでスマホを弄っていた先輩である成田さんに相談することにした。
「成田さん、相談があるんですけど……」
「何?」
成田さんはスマホから目を離し、こちらへ視線を向けた。
「常連さんと仲良くなったと思ったら、急に来なくなるのって、なんでだと思いますか?」
「ん〜そうだなー……」
腕を組んで少し考えた後、1つの理由をあげた。
「認知されたのが気まづくなった、とか?」
「どういう意味ですか?」
「私の場合だけど、この間よく利用するコンビニの店員さんに、いつもこの時間に来ますねって初めて話しかけられて……」
「はい」
「なんか気まずくなって、それ以来そこのコンビニに行けなくなっちゃったんだよね」
「なるほど……」
成田さんの場合、話しかけられて直ぐに気まずさを覚えている。
でも私たちの場合は話しかけてからそこそこ時間が経っている。
気まずいのであれば初めて話しかけた、あの刺身をサービスした日をきっかけに来なくなるのではないのか。
それなのに、なんで打ち上げに誘ってくれたの?
なんで連絡先を交換してくれたの?
なんでライブ出演の日付を教えてくれたの?
私のこと面倒くさくなったの?
しばらくお店に来てくれたのはサービス目当て?
ライブに誘ってくれたのもチケットの売り上げ貢献に利用するため?
そうだと思いたくない。
考えれば考えるほど分からなくなる。
