食べると言う字
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まさか打ち上げが自分のバイト先だとは。
なるほど、いつもこの流れで利用しているのね。
「お、◯◯さん!今日はシフト入っていないんじゃない?」
「働いていってくれてもいいんだよ?」
「今日はお客として来ましたー!」
おかげで店長や従業員の成田さんにからかわれる羽目に。
飲み物が揃ったところで乾杯の音頭が行われた。
もちろん私やミヤコ、福永さんはソフトドリンク。
「今日も一日お疲れ様!乾杯!」
「「「乾杯ー!!」」」
ガシャンとグラスが合わさる。
仕事終わりの1杯、喉を鳴らしながら飲み干す様を見ながら、私はちびちびとソフトドリンクを飲む。
芸人さんと言うのもあって、皆テンションが高い。
そんな中、ミヤコが私に耳打ちをしてきた。
「私も誘ってくれてありがとうね。まさか●●に芸人さんの知り合いがいたとは」
「たまたまだよ」
知り合いって言ってもいいのか怪しい関係だし。
だって私と福永さんは店員とお客様。
それ以上でも以下でもない。
「じゃあ、私は席移動するから。●●も頑張んなさいよ」
「え、私は別にっ!」
頑張るって何を?
ミヤコがお目当ての芸人さんの隣で飲み始めてしまったため、1人でポツリとご飯を食べる。
そこへ、誰かが隣に座ってきた。
「福永さん……」
「友達は?」
「あっちで楽しんでいます」
「ふーん」
「……」
特にこれと言って話が広がるわけでもなく終了。
そうだ、これを機に聞きたいことがあった。
「福永さんって、ご飯会のとき、なんで先輩芸人さんのお話を聞かないんですか?」
周りはアルコールが入っており、各々の話で盛り上がっている。
だけど、念の為先輩芸人さんに聞こえないようにコソッと聞いた。
「先輩の話は大体同じだから聞かなくても問題ない」
「なら、なんで参加するんですか?」
私なら面倒くさくて断る。
それとも芸人ならではの暗黙のルールがあるのか。
そう思っていたら、答えは至って単純だった。
「ご飯奢ってくれるから。だから参加してる」
若手芸人が貧困だと言う話はやっぱり本当だったのか。
確か、先日観たバラエティ番組で、若手芸人さんの節約生活特集がやっていたけれど、彼もそんな感じなのか。
「もしや、もやしばかり食べてます?」
「もしやもやし……」
福永さんに復唱されてハッとした。
「あ、シャレじゃないですよ!」
急いで弁明したのに、彼はしばらく肩を震わせて笑っていた。
芸人さんをやるくらいなんだ。
やはり面白いことが好きなんだと思った。
まあ、さっきのシャレが面白かったのかは分からないけれど。
そもそもシャレじゃないし。
こんな感じで、まったりと談笑しながら打ち上げは終盤に差し掛かった。
「じゃあ、そろそろ解散しますか」
先輩芸人さんのその一言で皆が帰り支度を始める。
皆散り散りに帰っていく中、
「福永さん!」
私は勇気を振り絞って彼を呼び留めた。
「?」
「あの……その……良ければ連絡先を交換しませんか?」
別に深い意味はない。
福永さんは、無言でスマホを取り出した。
これは交換してもいいってことかな?
慌ててスマホを取り出し、連絡先を交換した。
「ありがとうございます!またお店に来てくださいね。私もライブに行きます!」
「うん」
福永さんは微笑んで帰路についた。
後ろ姿を少し見送った後、再度スマホの画面を見た。
映し出された福永招平の文字。
なんだかご利益のありそうな名前だ。
眺めていると、ムギュッと誰かに頬をつねられた。
隣を見るとミヤコがいた。
「なーに、ニヤニヤしてんの?」
「え、私そんな顔してた?」
「ガッツリ、そりゃもう」
自分が思っているより福永さんと連絡を交換できたのが嬉しかったようだ。
それにしても地味に痛い。
つねられた頬を擦っていると、
「●●、頑張んなさいよ」
またあの時と同じセリフ。
本当にそんなんじゃないのに。
なるほど、いつもこの流れで利用しているのね。
「お、◯◯さん!今日はシフト入っていないんじゃない?」
「働いていってくれてもいいんだよ?」
「今日はお客として来ましたー!」
おかげで店長や従業員の成田さんにからかわれる羽目に。
飲み物が揃ったところで乾杯の音頭が行われた。
もちろん私やミヤコ、福永さんはソフトドリンク。
「今日も一日お疲れ様!乾杯!」
「「「乾杯ー!!」」」
ガシャンとグラスが合わさる。
仕事終わりの1杯、喉を鳴らしながら飲み干す様を見ながら、私はちびちびとソフトドリンクを飲む。
芸人さんと言うのもあって、皆テンションが高い。
そんな中、ミヤコが私に耳打ちをしてきた。
「私も誘ってくれてありがとうね。まさか●●に芸人さんの知り合いがいたとは」
「たまたまだよ」
知り合いって言ってもいいのか怪しい関係だし。
だって私と福永さんは店員とお客様。
それ以上でも以下でもない。
「じゃあ、私は席移動するから。●●も頑張んなさいよ」
「え、私は別にっ!」
頑張るって何を?
ミヤコがお目当ての芸人さんの隣で飲み始めてしまったため、1人でポツリとご飯を食べる。
そこへ、誰かが隣に座ってきた。
「福永さん……」
「友達は?」
「あっちで楽しんでいます」
「ふーん」
「……」
特にこれと言って話が広がるわけでもなく終了。
そうだ、これを機に聞きたいことがあった。
「福永さんって、ご飯会のとき、なんで先輩芸人さんのお話を聞かないんですか?」
周りはアルコールが入っており、各々の話で盛り上がっている。
だけど、念の為先輩芸人さんに聞こえないようにコソッと聞いた。
「先輩の話は大体同じだから聞かなくても問題ない」
「なら、なんで参加するんですか?」
私なら面倒くさくて断る。
それとも芸人ならではの暗黙のルールがあるのか。
そう思っていたら、答えは至って単純だった。
「ご飯奢ってくれるから。だから参加してる」
若手芸人が貧困だと言う話はやっぱり本当だったのか。
確か、先日観たバラエティ番組で、若手芸人さんの節約生活特集がやっていたけれど、彼もそんな感じなのか。
「もしや、もやしばかり食べてます?」
「もしやもやし……」
福永さんに復唱されてハッとした。
「あ、シャレじゃないですよ!」
急いで弁明したのに、彼はしばらく肩を震わせて笑っていた。
芸人さんをやるくらいなんだ。
やはり面白いことが好きなんだと思った。
まあ、さっきのシャレが面白かったのかは分からないけれど。
そもそもシャレじゃないし。
こんな感じで、まったりと談笑しながら打ち上げは終盤に差し掛かった。
「じゃあ、そろそろ解散しますか」
先輩芸人さんのその一言で皆が帰り支度を始める。
皆散り散りに帰っていく中、
「福永さん!」
私は勇気を振り絞って彼を呼び留めた。
「?」
「あの……その……良ければ連絡先を交換しませんか?」
別に深い意味はない。
福永さんは、無言でスマホを取り出した。
これは交換してもいいってことかな?
慌ててスマホを取り出し、連絡先を交換した。
「ありがとうございます!またお店に来てくださいね。私もライブに行きます!」
「うん」
福永さんは微笑んで帰路についた。
後ろ姿を少し見送った後、再度スマホの画面を見た。
映し出された福永招平の文字。
なんだかご利益のありそうな名前だ。
眺めていると、ムギュッと誰かに頬をつねられた。
隣を見るとミヤコがいた。
「なーに、ニヤニヤしてんの?」
「え、私そんな顔してた?」
「ガッツリ、そりゃもう」
自分が思っているより福永さんと連絡を交換できたのが嬉しかったようだ。
それにしても地味に痛い。
つねられた頬を擦っていると、
「●●、頑張んなさいよ」
またあの時と同じセリフ。
本当にそんなんじゃないのに。
