福永君は福耳になりたい
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ーー福永sideーー
授業後の部活、体育館には続々と部員たちが集まる。
そんな中、俺は練習前の柔軟体操をしながら、今朝のことを思い出していた。
指先に残る、ささやかな感触。
ふにふにして、柔らかくて、薄くて……俺のとはまるで違う、◯◯さんの耳たぶ。
それはまるで、マシュマロのような柔らかさで、記憶の中で何度でも蘇ってきた。
「福永、何してんだよ。耳たぶなんか触って」
研磨の少し呆れたような声にハッと我に返る。
無意識のうちに、自分の耳たぶをそっと摘んでいたようだ。
指先から伝わる、自分の耳たぶの厚みと固さ。
◯◯さんのそれとは全く違う。
……じゃあ、研磨の耳たぶはどんなんだろう。
そんな単純な興味がふと湧き上がり、気が付けば体が動いていた。
研磨の金色の髪をそっと避けて、その両耳の耳たぶを掴む。
研磨は驚いたように目を丸くし、反射的に後ろに飛び跳ねた。
「うわっぁ!急に何すんだよ」
「触ってみたくなった」
正直にそう言うと、研磨は困惑した表情で俺を見つめた。
「触ってみたくなったって……。福永、あまり他の人にはしない方がいいよ」
その声は、優しさと困惑が混じり合っている。
研磨の耳たぶは、俺のとも◯◯さんのとも違う、もっとしっかりとした感触だった。
「ごめん」
手を離すと、研磨はすぐに自分の耳を押さえ、俺から距離をとるようにして逃げていった。
そんなに嫌だったのか。
少し胸がチクリと痛んだ。
……もしかして、今朝俺がしたことも、◯◯さんにとっては研磨と同じくらい不快なことだったのかもしれない。
そう思うと、罪悪感が募る。
明日会ったら、ちゃんと謝ろう。
ーーーー
翌日、教室の扉を開けると、◯◯さんは友達と楽しそうに笑いながら話していた。
「おはよう、◯◯さん。昨日は……」
謝ろうと口を開きかけた、そのとき。
「えいっ!」
突然、◯◯さんが俺の両耳を摘んできた。
予想外の出来事に、俺はただ立ち尽くすしかできなかった。
「!?!?」
◯◯さんは、イタズラっぽく笑いながら言った。
「えへへ、昨日のお返し」
その笑顔は、どこか楽しそうで、昨日の研磨のような嫌悪感は微塵も感じられない。
人に耳を触られるって、こんな感じなのか。
不思議と嫌な気はしなかった。
むしろ、心地よいと感じるくらいだった。
それは俺が誰に触られてもこうなのか、それとも、彼女だからなのか。
◯◯さんは、満足いくまで俺の耳たぶを触ると、ようやく手を離した。
「福永君の耳たぶも私ほどじゃないけど、薄い方だね。それに小さいし」
「そうかな?」
確かに、昨日ずっと自分の耳たぶを触ってみたけれど、いわゆる“福耳”には思えなかった。
「他の人のをよく知らないから多分だけど」
「そうか……」
◯◯さんは、ひょっとして福耳がいいのだろうか。
確か福耳って七福神の耳に似ていて“縁起が良い”と言われている。
俺の耳も大きく伸びてくれないかな。
それで、彼女に“縁起がいいね”と笑ってもらいたい。
この日から、俺は時間があるときは耳たぶを伸ばすために、ふにふにと触るようになった。
授業後の部活、体育館には続々と部員たちが集まる。
そんな中、俺は練習前の柔軟体操をしながら、今朝のことを思い出していた。
指先に残る、ささやかな感触。
ふにふにして、柔らかくて、薄くて……俺のとはまるで違う、◯◯さんの耳たぶ。
それはまるで、マシュマロのような柔らかさで、記憶の中で何度でも蘇ってきた。
「福永、何してんだよ。耳たぶなんか触って」
研磨の少し呆れたような声にハッと我に返る。
無意識のうちに、自分の耳たぶをそっと摘んでいたようだ。
指先から伝わる、自分の耳たぶの厚みと固さ。
◯◯さんのそれとは全く違う。
……じゃあ、研磨の耳たぶはどんなんだろう。
そんな単純な興味がふと湧き上がり、気が付けば体が動いていた。
研磨の金色の髪をそっと避けて、その両耳の耳たぶを掴む。
研磨は驚いたように目を丸くし、反射的に後ろに飛び跳ねた。
「うわっぁ!急に何すんだよ」
「触ってみたくなった」
正直にそう言うと、研磨は困惑した表情で俺を見つめた。
「触ってみたくなったって……。福永、あまり他の人にはしない方がいいよ」
その声は、優しさと困惑が混じり合っている。
研磨の耳たぶは、俺のとも◯◯さんのとも違う、もっとしっかりとした感触だった。
「ごめん」
手を離すと、研磨はすぐに自分の耳を押さえ、俺から距離をとるようにして逃げていった。
そんなに嫌だったのか。
少し胸がチクリと痛んだ。
……もしかして、今朝俺がしたことも、◯◯さんにとっては研磨と同じくらい不快なことだったのかもしれない。
そう思うと、罪悪感が募る。
明日会ったら、ちゃんと謝ろう。
ーーーー
翌日、教室の扉を開けると、◯◯さんは友達と楽しそうに笑いながら話していた。
「おはよう、◯◯さん。昨日は……」
謝ろうと口を開きかけた、そのとき。
「えいっ!」
突然、◯◯さんが俺の両耳を摘んできた。
予想外の出来事に、俺はただ立ち尽くすしかできなかった。
「!?!?」
◯◯さんは、イタズラっぽく笑いながら言った。
「えへへ、昨日のお返し」
その笑顔は、どこか楽しそうで、昨日の研磨のような嫌悪感は微塵も感じられない。
人に耳を触られるって、こんな感じなのか。
不思議と嫌な気はしなかった。
むしろ、心地よいと感じるくらいだった。
それは俺が誰に触られてもこうなのか、それとも、彼女だからなのか。
◯◯さんは、満足いくまで俺の耳たぶを触ると、ようやく手を離した。
「福永君の耳たぶも私ほどじゃないけど、薄い方だね。それに小さいし」
「そうかな?」
確かに、昨日ずっと自分の耳たぶを触ってみたけれど、いわゆる“福耳”には思えなかった。
「他の人のをよく知らないから多分だけど」
「そうか……」
◯◯さんは、ひょっとして福耳がいいのだろうか。
確か福耳って七福神の耳に似ていて“縁起が良い”と言われている。
俺の耳も大きく伸びてくれないかな。
それで、彼女に“縁起がいいね”と笑ってもらいたい。
この日から、俺は時間があるときは耳たぶを伸ばすために、ふにふにと触るようになった。
