キュン死
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大会当日。
会場の東京体育館は、熱気と興奮に満ち溢れていた。
歓声が地鳴りのように響き、照明がコートを眩いほどに照らしている。
見渡せば、地元ということもあって東京の高校の応援が圧倒的に多い。
色とりどりの横断幕やうちわが揺れ、吹奏楽部の演奏に合わせてチアリーダーが元気よくポンポンを振っている。
その鮮やかな光景が、選手たちの指揮を高ぶらせているようだった。
音駒高校対、烏野高校。
周りの席の人たちの話を聞く限り、どうやら因縁の相手らしい。
高揚と緊張が入り混じる中、選手たちがネット越しに握手を交わし、試合が始まった。
孤爪君がボールをセットし、山本君が豪快なスパイクを決めていく。
先輩たちが諦めずにボールを拾い続けるたび、客席からもどよめきが上がった。
1点1点が重たい。
それを物語るように、長いラリーが何度も続く。
そして、招平君も他のどのメンバーにも引けを取らない、静かで冷静な動きをしていた。
無駄な声は出さないけれど、コートを縦横無尽に駆ける、猫のような軽い身のこなし。
しなやかな長い手足を自在に操り、ボールを追う姿。
サーブをネットインさせてしまったときもあったけれど、不思議とそれすら愛おしいと思えてしまう。
あんなに格好良い選手が私の彼氏なんだよ、と心の中で何度も何度も自慢してしまった。
そんな招平君は、試合の合間やセット間で仲間を笑わせる冗談を言うことがある。
そのひとことに、周囲のメンバーたちが一瞬リラックスしたように笑みを溢していた。
でも、その肝心の声は、遠く歓声にかき消されて私のところまでは届かない。
「何て言ったんだろう……」
無性に知りたくて、じっとコートを見つめてしまう。
……。
…………。
結果は2-3。
惜しくも負けてしまった。
観客席からは勝った選手にも、負けた選手にも誠意を称えて拍手が沸き起こる。
私も奥歯をかみしめながら拍手をしたけれど、悔しさが込み上がり、涙が頬を伝った。
その涙の向こうに見える選手たち。
最後まで戦い抜いたみんなが格好良かった。
そんな彼に直接労いの言葉をかけたい。
私は観客席をゆっくり立ち上がる。
だけど、控席に戻ってきた招平君を初め、選手たちの雰囲気は、私が割って入っていいのものではなかった。
そりゃあ、そうだよね。
長年苦楽を共にしてきたチームメイトである先輩たちが、この試合で引退が決まったんだから。
「お疲れ様は、明日言えばいい……」
そう小さく呟いて、私は静かに会場を後にした。
東京体育館の外は館内の熱気と比べものにならないほど冷えていて、涙で火照った頬にちょうど良かった。
会場の東京体育館は、熱気と興奮に満ち溢れていた。
歓声が地鳴りのように響き、照明がコートを眩いほどに照らしている。
見渡せば、地元ということもあって東京の高校の応援が圧倒的に多い。
色とりどりの横断幕やうちわが揺れ、吹奏楽部の演奏に合わせてチアリーダーが元気よくポンポンを振っている。
その鮮やかな光景が、選手たちの指揮を高ぶらせているようだった。
音駒高校対、烏野高校。
周りの席の人たちの話を聞く限り、どうやら因縁の相手らしい。
高揚と緊張が入り混じる中、選手たちがネット越しに握手を交わし、試合が始まった。
孤爪君がボールをセットし、山本君が豪快なスパイクを決めていく。
先輩たちが諦めずにボールを拾い続けるたび、客席からもどよめきが上がった。
1点1点が重たい。
それを物語るように、長いラリーが何度も続く。
そして、招平君も他のどのメンバーにも引けを取らない、静かで冷静な動きをしていた。
無駄な声は出さないけれど、コートを縦横無尽に駆ける、猫のような軽い身のこなし。
しなやかな長い手足を自在に操り、ボールを追う姿。
サーブをネットインさせてしまったときもあったけれど、不思議とそれすら愛おしいと思えてしまう。
あんなに格好良い選手が私の彼氏なんだよ、と心の中で何度も何度も自慢してしまった。
そんな招平君は、試合の合間やセット間で仲間を笑わせる冗談を言うことがある。
そのひとことに、周囲のメンバーたちが一瞬リラックスしたように笑みを溢していた。
でも、その肝心の声は、遠く歓声にかき消されて私のところまでは届かない。
「何て言ったんだろう……」
無性に知りたくて、じっとコートを見つめてしまう。
……。
…………。
結果は2-3。
惜しくも負けてしまった。
観客席からは勝った選手にも、負けた選手にも誠意を称えて拍手が沸き起こる。
私も奥歯をかみしめながら拍手をしたけれど、悔しさが込み上がり、涙が頬を伝った。
その涙の向こうに見える選手たち。
最後まで戦い抜いたみんなが格好良かった。
そんな彼に直接労いの言葉をかけたい。
私は観客席をゆっくり立ち上がる。
だけど、控席に戻ってきた招平君を初め、選手たちの雰囲気は、私が割って入っていいのものではなかった。
そりゃあ、そうだよね。
長年苦楽を共にしてきたチームメイトである先輩たちが、この試合で引退が決まったんだから。
「お疲れ様は、明日言えばいい……」
そう小さく呟いて、私は静かに会場を後にした。
東京体育館の外は館内の熱気と比べものにならないほど冷えていて、涙で火照った頬にちょうど良かった。
