キュン死
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜キュン死〜
寒い12月。
期末テストも終わり、後は冬休みを迎えるだけ。
朝の教室に入ると、既に何人かの生徒たちが登校していた。
冬休みの計画を立てている者、クリスマスに向けて恋人を作ろうと焦っている者。
教室は浮かれた空気を醸し出している。
そんな中、教室の隅で孤爪君と楽しそうに話している長身の猫背の彼に目がいった。
彼は、
「タバコ」
と呟くと、まるで本物の煙草のように、咥えた棒付きキャンディを指先でつまみ、白い息を吐き出した。
室内が寒いからこそなせる技。
そんなお茶目なことをしているのが、私の彼氏である福永招平君である。
私は自分の机に荷物を置いた後、2人の元へと割り込んだ。
「招平君、孤爪君、おはよー!」
「●●ちゃん、おはよう」
「はよ……」
招平君は鞄から新しいキャンディを取り出し、私に差し出した。
「食べる?」
「うん!」
彼の大きな手から受け取ったキャンディはミント味だった。
「え……」
寄りによってこのフレーバー……。
口の中がスースーして、身体まで冷えそうだ。
だけど、貰った手前食べないワケにはいかない。
頭では分かっているけれど、中々包み紙を開けられずにいる。
そんな私の様子を見た招平君は、
「冗談」
とだけ言って、改めてソーダ味のキャンディを渡してくれた。
「もー!食べてないのにヒヤッとしたよー!」
そんなやり取りをしていると、いつの間にか携帯ゲーム機を弄っていた孤爪君が、視線はそのままでぼそっと呟いた。
「ねぇ福永。◯◯さん、大会に誘ったの?」
招平君は少し間を置いてから、
「あ……」
と、目を見開いた。
これは完全に忘れていた反応。
私自身も大会のことなんて聞いていなかったから。
「大会あるの?」
「うん、春高。会場東京だから、●●ちゃんに応援来て欲しい」
「絶対に行く!めっちゃ応援するね!」
そう言うと、招平君の口角が上がった気がした。
私でなければ見逃してしまう。
その微かな表情の変化を汲み取れるようになり、嬉しくなった。
この目でしっかり招平君たちの勇姿を焼き付けないと。
そう思っていると、チャイムが教室中に高く響いた。
「戻るね」
招平君はそう言うと、私に視線を合わせるために屈んでいた姿勢を、ふわりと起こした。
起き上がっても相変わらず猫背。
その猫背を見送る。
ほんの少し前まで、隣にいたはずの温もりが急に遠のいた気がした。
「……」
「……◯◯さんも席戻ったら?」
孤爪君の言葉に、ハッと現実に引き戻されて、慌てて口を開く。
「あ、うん……。そうだね」
少しだけ寂しさを覚えながら、私は自分の席へと戻った。
1/4ページ
