福耳になりたい福永君
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〜福耳になりたい福永君〜
「う〜ん」
中々上手く着けられない……。
朝の支度途中、鏡に向かって苦戦中の私。
決して寝癖が直らないわけではない。
「イヤリング難しい……」
そう、先日買ったイヤリングを着けることに苦戦している。
「あ、着いた!…………ああっ!」
着いたと思いきや、直ぐに外れてしまったイヤリング。
もう一度……。
「●●ー?遅刻するわよ?」
「え、もうそんな時間?!」
母の言葉に長らく格闘していることに気が付いた。
私は鞄を持って急いで家を出た。
ーーーー
「おはよー●●」
「アヤおはよう」
教室に入り、自分の席へ着くと、空いている隣の席にアヤが座ってきた。
「あれ、イヤリング着けてこなかったの?」
アヤはこのイヤリングを一緒に買うときに付き合ってくれた友達。
「うん、着けようかとは思ったんだけど、何回やっても落ちちゃって」
そう言って私はイヤリングを鞄から取り出した。
赤色の猫目石をあしらった可愛いイヤリング。
実はこのデザインを選んだのは好きな人をイメージしたものに近かったから。
隣の席の福永招平君。
朝練中なのかまだ教室には来ていない。
だから、今は代わりにアヤが座っている。
「着けてあげるよ」
「本当?!助かるー!」
アヤにイヤリングを渡した。
「着けても落ちるってことは……●●の耳たぶが薄いのかな?」
そう言ってアヤは留め具のネジを締めた。
なるほど、そんな調節ができたのか。
「はい、耳出して~」
右耳に髪をかけて着けやすいようにした。
「これで、……よしっと。どう?」
私は首を振って落ちないか確認した。
「おおー!全然落ちない!」
「はい、じゃあ左も出して」
向きを替えようとしたら、
「おはよ……」
「ふ、福永君っ!おはよう……」
朝練を終えた福永君が教室へと入ってきた。
「そこ、俺の席……」
福永君はアヤが座っている席を指差した。
「あ、ここ福永の席だったのか」
「うん。先生もうすぐ来るよ」
そう言うが先かガラガラと教室の扉が開かれ、先生が入ってきた。
「おーい、席に着け」
「やっば。じゃあ、また後でね」
アヤはサッと自分の席へと戻っていった。
ようやく席に座れた福永君。
先生が出席の確認をしてからホームルームが始まった。
そんな中、私は右から凄い死線を感じている。
「私の顔に何か付いてる?福永君、さっきからずっと見てきて」
あまりにも気になりすぎて、先生に気づかれない声のトーンで福永君に尋ねた。
「耳……」
「耳?……あーこれ?」
キラキラと光っているイヤリング。
「うん」
「アヤに着けてもらったの。自分じゃ着けられないから、こっちはまだなんだけど。なんか、耳たぶが薄いんだって」
「ふ~ん」
私は何の気なしに左の髪を掻き上げて耳を見せた。
すると、福永君はさも当たり前のようにふにふにと私の耳たぶを触りだした。
「なっ……え、は……っ」
「本当だ、俺より薄いね」
動揺する私に対して、福永君はいつも通りだった。
「あ、ホームルーム終わった。一限は移動だったよね」
そそくさと教室を出ていった福永君。
未だに動けない私。
「●●、何ボーッとしてるの?移動しよ?」
「あ、うん」
アヤの呼び掛けにようやく我に返った。
福永君ってサラッとああ言うことをするんだから。
本当に心臓に悪い。
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