合鍵
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
休日の午前。
買い物へ行くために、日差しが差し込む玄関でスニーカーを履いていると、先生がリビングから顔を出した。
「どうしたんですか?何かいるものがあれば、ついでに買って帰りますけど」
すると、先生は少しだけ考えた素振りを見せたかと思えば、
「俺も行く」
と一言。
もしかして、荷物持ちをしてくれるため?
それとも私の怪我を案じてか。
怪我はもうすっかり治ってるのに。
過保護だな、と思いつつ嬉しかった。
ーーーー
レジ袋をぶら下げながら、スーパーの自動ドアをくぐって外へ出る。
「買いすぎちゃいましたね。先生に付いてきてもらえて助かりました!」
なんだか本当に同棲している恋人みたい。
それか夫婦……だとか。
なんちゃって。
1人で妄想しながら並んで歩いていると、不意に後ろから名前を呼ばれた、
「●●!」
一瞬、心臓がドクンと鳴る。
この声……。
振り向くと、そこに元カレのケイタがいた。
「なん……で……」
道端に立つケイタは、付き合っていた頃と何も変わっていない。
今や完全に過去の人。
「たまたま通りかかっただけだよ。それより、なんだよ、そのおっさん」
その瞬間、隣を歩いていた先生の存在を意識してしまう。
先生は冷めた視線で、ケイタを一瞬だけ見下ろす。
「先生はおっさんなんかじゃない!」
思わず声を張り上げた。
すると、ケイタはニヤつきながら首を傾げた。
「先生って……お前、なに? 習い事でも始めた?それとも、そういうプレイ?変態だな」
言葉が喉でつかえて、顔が熱くなった。
つい先程まで、恋人、もしくは夫婦に見られたらどうしよう、と浮かれていたのに。
私と先生の年齢差があると、この人からしたら、そんな関係にしか見られないなんて。
そう思うと、悔しさと情けなさが込み上げる。
私は本気で先生のことが好きなのに。
並んで歩いていただけの帰り道が、一瞬で現実に引き戻される。
俯いてしまった私の横で、先生はレジ袋を無言のまま持ち上げ直した。
「くだらないな」
静かな、だけど低い声。
先生は1歩、私の前に出て、ケイタを真っ直ぐ見据える。
「人の付き合い方にあれこれ言う暇があるなら、自分の心配でもしたらどうだ」
「はぁ?なんだよ、おっさん」
「後ろで目くじら立てているヤツ、お前の連れじゃないのか」
先生の視線の先を見ると、確かにケイタの直ぐ側に、怒った形相でこちらを睨みつけている女性がいた。
新しい彼女かな。
「ケイタ!ちょっと目を離した隙に、何昔の女に絡んでんのよ!」
「あ、ちょ……ミヤビ!これは……!」
慌てふためくケイタを無視して、先生は私の方を1度だけチラりと見た。
「帰るぞ、●●」
今度はしっかり私の肩を抱くような手つきで。
まるで私を守ってくれているよう。
後ろからケイタが私を呼び止める声が聞こえるけれど、そんなことは知らない。
彼女と勝手に仲良くやってくれ。
……。
…………。
やがて雑音は聞こえなくなり、静かな通りまでやってきた。
先生の手は、まださりげなく私の肩に添えられている。
その温もりが嬉しいはずなのに、先ほどのケイタの言葉が、まだ耳の奥で残っていた。
思わず、口をついて出る。
「先生は……悔しくないんですか?変態呼ばわりされて」
歩く足を止めることもなく、先生はふっと息を吐いた。
「変態はお前の方だろ。現に初日、勝手に風呂に入ってきたし」
喝を入れるような声色。
でも、その横顔は少しだけ笑っている気がした。
「うっ……」
言い返せなくて、顔から火が出そうになる。
そのことはもう忘れて欲しいのに。
それでも先生は、私をチラりと見て、心底楽しそうに小さく笑った。
その笑顔に、さっきまでの悔しさや情けなさが、不思議と消えていく気がした。
やっぱり、私は相澤先生が好きだ。
買い物へ行くために、日差しが差し込む玄関でスニーカーを履いていると、先生がリビングから顔を出した。
「どうしたんですか?何かいるものがあれば、ついでに買って帰りますけど」
すると、先生は少しだけ考えた素振りを見せたかと思えば、
「俺も行く」
と一言。
もしかして、荷物持ちをしてくれるため?
それとも私の怪我を案じてか。
怪我はもうすっかり治ってるのに。
過保護だな、と思いつつ嬉しかった。
ーーーー
レジ袋をぶら下げながら、スーパーの自動ドアをくぐって外へ出る。
「買いすぎちゃいましたね。先生に付いてきてもらえて助かりました!」
なんだか本当に同棲している恋人みたい。
それか夫婦……だとか。
なんちゃって。
1人で妄想しながら並んで歩いていると、不意に後ろから名前を呼ばれた、
「●●!」
一瞬、心臓がドクンと鳴る。
この声……。
振り向くと、そこに元カレのケイタがいた。
「なん……で……」
道端に立つケイタは、付き合っていた頃と何も変わっていない。
今や完全に過去の人。
「たまたま通りかかっただけだよ。それより、なんだよ、そのおっさん」
その瞬間、隣を歩いていた先生の存在を意識してしまう。
先生は冷めた視線で、ケイタを一瞬だけ見下ろす。
「先生はおっさんなんかじゃない!」
思わず声を張り上げた。
すると、ケイタはニヤつきながら首を傾げた。
「先生って……お前、なに? 習い事でも始めた?それとも、そういうプレイ?変態だな」
言葉が喉でつかえて、顔が熱くなった。
つい先程まで、恋人、もしくは夫婦に見られたらどうしよう、と浮かれていたのに。
私と先生の年齢差があると、この人からしたら、そんな関係にしか見られないなんて。
そう思うと、悔しさと情けなさが込み上げる。
私は本気で先生のことが好きなのに。
並んで歩いていただけの帰り道が、一瞬で現実に引き戻される。
俯いてしまった私の横で、先生はレジ袋を無言のまま持ち上げ直した。
「くだらないな」
静かな、だけど低い声。
先生は1歩、私の前に出て、ケイタを真っ直ぐ見据える。
「人の付き合い方にあれこれ言う暇があるなら、自分の心配でもしたらどうだ」
「はぁ?なんだよ、おっさん」
「後ろで目くじら立てているヤツ、お前の連れじゃないのか」
先生の視線の先を見ると、確かにケイタの直ぐ側に、怒った形相でこちらを睨みつけている女性がいた。
新しい彼女かな。
「ケイタ!ちょっと目を離した隙に、何昔の女に絡んでんのよ!」
「あ、ちょ……ミヤビ!これは……!」
慌てふためくケイタを無視して、先生は私の方を1度だけチラりと見た。
「帰るぞ、●●」
今度はしっかり私の肩を抱くような手つきで。
まるで私を守ってくれているよう。
後ろからケイタが私を呼び止める声が聞こえるけれど、そんなことは知らない。
彼女と勝手に仲良くやってくれ。
……。
…………。
やがて雑音は聞こえなくなり、静かな通りまでやってきた。
先生の手は、まださりげなく私の肩に添えられている。
その温もりが嬉しいはずなのに、先ほどのケイタの言葉が、まだ耳の奥で残っていた。
思わず、口をついて出る。
「先生は……悔しくないんですか?変態呼ばわりされて」
歩く足を止めることもなく、先生はふっと息を吐いた。
「変態はお前の方だろ。現に初日、勝手に風呂に入ってきたし」
喝を入れるような声色。
でも、その横顔は少しだけ笑っている気がした。
「うっ……」
言い返せなくて、顔から火が出そうになる。
そのことはもう忘れて欲しいのに。
それでも先生は、私をチラりと見て、心底楽しそうに小さく笑った。
その笑顔に、さっきまでの悔しさや情けなさが、不思議と消えていく気がした。
やっぱり、私は相澤先生が好きだ。
