合鍵
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〜合鍵〜
同棲していた彼氏、ケイタに振られて家を追い出された。
それ以降、友達の家を転々として生活をしているけど、今お世話になっている友達の家に居座るのも限界かもしれない。
決して多くない荷物を入れたキャリーケースを転がしながら、次の帰省先を探す。
今後のことを考えるとビジネスホテルは高いし、漫画喫茶で寝泊まりするか。
それか、いっそのこと田舎に帰るか……。
でも、そうしたら仕事も辞めないといけなくなる。
雄英高校を卒業してから、今までお世話になっているヒーロー事務所。
みんな良くしてくれるから、離れ難い。
どうしたものかと考えながら暗くなり始める道を歩く。
すると、見覚えのある懐かしい人が目の前に。
「もしかして、相澤先生ですか?!」
「あ?」
先生はピンときていないのか、ガラの悪い目つきで私を凝視する。
「ほら、3年前に先生のクラスだった◯◯●●です!」
「……ああ、◯◯か」
「思い出してくれましたか?嬉しいです!……そうだ、ここで会ったのも何かの縁ですし、先生の家でしばらく泊めてください」
高校生の頃、大好きだった相澤先生。
あれから月日が経ち、その気持ちも薄れてきたように思えていたけれど、再熱しそうだ。
だけど、先生は眉間に皺を寄せ、明らかに迷惑そうな顔をして私を見下ろす。
「おいおい、冗談だろ」
「冗談じゃないですよ!本当に困ってるんです。見てください、この荷物。行くあてがないんですよ」
私はキャリーケースを少し持ち上げて見せた。
先生はため息をつき、頭を掻きむしる。
「……はぁ。お前なぁ、いきなり教え子がそんなこと言ってきて、簡単に泊めると思うか?」
「思わないです!でも、先生は困ってる私を見過ごせない優しい人だって知ってますから!」
高校生の頃、先生はすぐに退学をチラつかせてきたけれど、結局誰1人として見放さなかった。
そんな不器用だけど、誰よりも優しいのを私は知っている。
「それに、今の私は先生の生徒じゃないです」
先生は数秒間、何も言わずに私を見つめていたけれど、やがて観念したように小さな声で呟いた。
「……ったく。分かった、今回だけだぞ」
「本当ですか?!ありがとうございます、先生!」
私は喜びのあまり、思わず先生の手を握ってしまった。
先生は呆れた顔をしたけれど、決して振り払おうとはしない。
やっぱり先生はあの頃の先生のままだ。
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