約束はこの場所で
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〜約束はこの場所で〜
春の日差しが眩しくなり始めた頃。
私は1枚のプリントを手にし、心を躍らせていた。
「●●、実習場所どこになった?」
「雄英高校だよ!」
手にしたプリントを友達にヒラヒラと見せる。
「えー!めっちゃいいじゃん!私と代わってよー!」
「ちょっと無理」
私の通う看護科の大学では、2年生になると現場実習が始まる。
プロヒーローの事務所や警察官の刑事課、私のようにヒーロー科のある高校に配属される生徒もいる。
実習内容は、配属先の人たちの治療やケアをすること。
雄英高校へ行くのは楽しみだった。
だって、あの憧れのリカバリーガールに会えるんだから。
彼女は雄英高校に最も長く勤務する女性養護教諭。
希少な治癒の個性を持っている。
看護科の学校にも1人いるかどうかの治癒個性。
かくいう私の個性も治癒ではない。
私の個性は『鉄分操作』。
血液中の鉄分を操作することによって止血したり、かさぶたの形成を助ける。
万能個性ではないため、あまりに酷い怪我は応急処置程度しかできない。
そういうワケで、リカバリーガール先生の治癒の個性は、希少であり、私たち看護科の憧れなのだ。
ーーーー
数日後。
心地よい緊張とワクワクを胸に、私は雄英高校の正門をくぐった。
見上げると、あの有名な校舎が目の前にそびえ立っている。
ここにヒーロー候補たちが集い、あの憧れのリカバリーガール先生もいるのだと思うと、自然と背筋が伸びてしまう。
受付を済ませ、事務員さんによって医務室へと案内された。
「では、私はこれで。実習頑張ってね」
「ありがとうございます!」
扉の前で深呼吸をしてからノックすると、中から優しそうな声がした。
「はい、どうぞ〜」
リカバリーガール先生だ。
「し、失礼します」
緊張しながら扉を開けると、そこには白衣を身に纏った小柄な老女が、椅子に腰掛けていた。
頭に髪飾のような注射器が刺さっている。
「アナタが実習生の◯◯●●ちゃんね」
「あ、はい!今日から1ヶ月お世話になります!」
私が頭をペコリと下げると、リカバリーガール先生はにっこりと目を細めて頷いてくれる。
テレビ画面で何度も見た、小さいけれど凛としたあの先生だ。
本物は想像よりずっと親しみやすそうで、緊張が少しほぐれた。
「そんなにかしこまらなくても大丈夫よ。ここの生徒たち、ヒーロー志望の子たちばかりだけれど、年はアナタとさほど変わらないから」
「私、精一杯サポートします!」
「頼もしいわ。さて、実習初日は簡単な応急処置をお願いするつもりよ。もちろん難しい処置は私がやるから安心して」
リカバリーガール先生は医務室の中を案内してくれた。
ベッドが数台並び、消毒や応急処置のための器具が置かれている。
「色んなことに興味を持って、たくさん学んでね。分からないことがあったらなんでも聞いて」
「はい、ありがとうございます!」
早速ノートを取り出し、先生のひとつひとつの言葉を逃さないようにメモを取る構えをした。
そんな私の様子を見て、リカバリーガール先生は肩を揺らして笑った。
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