ーーおまけ(相澤side)ーー


●●が体調を崩したから、彼女の計らいによって夜ご飯は久しぶりに思い出の居酒屋に行くことにした。

席に着いてほどなくして、女性に話しかけられた。


「ねえ、お髭のアナタ。1人かしら。私も1人なんだけど、よかったら一緒に飲ませんか？」


一瞬だけ視線を彼女に向けると、露出の高い服を着ていた。
見ているだけでこっちまで寒くなる。


「1人ですけど、すぐに帰る予定なので、他を当たった方がいいですよ」


面倒くさいが、ここで言い合いになるとせっかくの飯が不味くなる。
極力丁寧な口調で断った。


「冷たいことを言うのね」

「……」

「見たところ指輪をしていないじゃない。独身なんじゃない？」


大抵の女はここで折れるのに、彼女は何故か食い下がってくる。
指輪まで確認してくるなんて。


「残念ながら既婚だ」

「えー、じゃあ何で付けないんですか？本当はナンパ待ちしていたんでしょ？」

「理由はあるけど、アンタには関係ない」


戦闘訓練で無くす可能性があるから付けていないのだが、見ず知らずの女に職業を教える義理はない。


「でもっ！」


あー、面倒くさいしクドい。
いい加減引き下がれよ。


「俺、妻を愛しているんで。他の女性に興味はない。だからアンタの好意には応えられない」

「……っ」


ここまで言うと女は、


「なんだー、つまらないの！じゃあ、さっさと奥さんに直接愛の言葉を伝えなさいよ！」


捨てゼリフを吐いてやっと身を引いた。

女にはムッとしたが確かに一里ある。
しばらく愛の言葉を伝えていない。

帰ったら久しぶりに伝えてみるか。

その前に●●は食欲がないと言っていたが、食べられそうな物でも買ってから帰ろう。