ゼロ日婚の果て
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「いらっしゃいませ〜。何名様でしょうか」
「1人です」
申し訳程度に声色を変えて答えた。
軽く店内を見渡し、夫とヒトミの位置を把握する。
夫はヒトミが送ってくれた画像通りの席で飲んでいた。
夫からは死角だけれど、私からは会話が聞こえて写真が撮りやすい場所となれば……。
「ここの席がいいんだけれど……」
「かしこまりました。1名様ご案内ー!」
怪しまれないように適当にお茶と食べ物を注文してから、ヒトミに合図を送った。
ヒトミはこっそりとウインクをすると、飲み物を手に夫へと近づく。
「ねえ、お髭のアナタ。1人かしら。私も1人なんだけど、よかったら一緒に飲みませんか?」
夫は視線を一瞬だけヒトミに移してから、またお酒に戻した。
「1人ですけど、すぐに帰る予定なので、他を当たった方がいいですよ」
「冷たいことを言うのね」
「……」
「見たところ指輪をしていないじゃない。独身なんでしょ?」
恋愛結婚したわけではない私たちだけれど、一応結婚指輪は作っている。
何故かは知らないけれど、それを普段からしていないことも知っている。
もちろんそのことをヒトミとは共有済み。
話題に出して揺さぶっていいと言ったのも私。
さあ、夫はどう出る。
「残念ながら既婚だ」
「えー、じゃあ何で付けないんですか?本当はナンパ待ちしていたんでしょ?」
ヒトミはさりげなく夫の隣に座って質問を続けた。
「理由はあるけど、アンタには関係ない」
「でもっ!」
ヒトミ、頑張れ!
心の中で彼女の応援をしていると、夫の口から意外な言葉が出てきた。
「俺、妻を愛しているんで。他の女性に興味はない。だからアンタの好意には応えられない」
「……っ」
素っ気ない態度でヒトミを一蹴り。
消太……。
私のことを愛していたの?
動揺が隠せない。
こんなにも胸がキュッとなるなんて。
ヒトミをあしらう為の嘘の可能だって否めない。
だけど、そのためにわざわざ愛しているなんて言葉を使うだろうか。
いや、夫に限ってそれはない。
「……」
……もういい。
ヒトミには悪いことをしてしまったけれど、今日は引き下がるように合図を送った。
「なんだー、つまらないの!じゃあ、さっさと奥さんに直接愛の言葉を伝えなさいよ!」
ヒトミはお酒を飲み干すと、伝票を持ってレジへと向かった。
私も後を追うようにお会計を済ませた。
思っていた結果にならなかった。
だけど、不満はない。
明日は久しぶりに夫の好物でも作ってあげようかな。
ーーFinーー
「1人です」
申し訳程度に声色を変えて答えた。
軽く店内を見渡し、夫とヒトミの位置を把握する。
夫はヒトミが送ってくれた画像通りの席で飲んでいた。
夫からは死角だけれど、私からは会話が聞こえて写真が撮りやすい場所となれば……。
「ここの席がいいんだけれど……」
「かしこまりました。1名様ご案内ー!」
怪しまれないように適当にお茶と食べ物を注文してから、ヒトミに合図を送った。
ヒトミはこっそりとウインクをすると、飲み物を手に夫へと近づく。
「ねえ、お髭のアナタ。1人かしら。私も1人なんだけど、よかったら一緒に飲みませんか?」
夫は視線を一瞬だけヒトミに移してから、またお酒に戻した。
「1人ですけど、すぐに帰る予定なので、他を当たった方がいいですよ」
「冷たいことを言うのね」
「……」
「見たところ指輪をしていないじゃない。独身なんでしょ?」
恋愛結婚したわけではない私たちだけれど、一応結婚指輪は作っている。
何故かは知らないけれど、それを普段からしていないことも知っている。
もちろんそのことをヒトミとは共有済み。
話題に出して揺さぶっていいと言ったのも私。
さあ、夫はどう出る。
「残念ながら既婚だ」
「えー、じゃあ何で付けないんですか?本当はナンパ待ちしていたんでしょ?」
ヒトミはさりげなく夫の隣に座って質問を続けた。
「理由はあるけど、アンタには関係ない」
「でもっ!」
ヒトミ、頑張れ!
心の中で彼女の応援をしていると、夫の口から意外な言葉が出てきた。
「俺、妻を愛しているんで。他の女性に興味はない。だからアンタの好意には応えられない」
「……っ」
素っ気ない態度でヒトミを一蹴り。
消太……。
私のことを愛していたの?
動揺が隠せない。
こんなにも胸がキュッとなるなんて。
ヒトミをあしらう為の嘘の可能だって否めない。
だけど、そのためにわざわざ愛しているなんて言葉を使うだろうか。
いや、夫に限ってそれはない。
「……」
……もういい。
ヒトミには悪いことをしてしまったけれど、今日は引き下がるように合図を送った。
「なんだー、つまらないの!じゃあ、さっさと奥さんに直接愛の言葉を伝えなさいよ!」
ヒトミはお酒を飲み干すと、伝票を持ってレジへと向かった。
私も後を追うようにお会計を済ませた。
思っていた結果にならなかった。
だけど、不満はない。
明日は久しぶりに夫の好物でも作ってあげようかな。
ーーFinーー