ゼロ日婚の果て
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お互い乱れた服を直し、私は気まずさからか言葉が迷子になっていた。
やがて避妊具を使っていないことの重大さにようやく気付き始めた頃、
「なあ、もし出来ていたら責任取るから連絡して。これ俺の名刺」
そう言って渡された名刺には雄英高校教員、相澤消太と書いてあった。
学校の……それも有名なヒーロー科のある学校。
なるほど、私が騒ぎを起こせば職がなくなる可能性があるもんね。
立派な肩書を守るために、もしできていたらおろさせるつもりか。
私は名刺を鞄のポケットに大切にしまった。
ーーーー
あれから1ヶ月。
相澤とは連絡を取っていない。
だけど、取らざるを得ないかもしれない。
なぜなら生理が来ないから。
念の為に予め買っておいた妊娠検査薬。
勇気が出なくて使えないでいたけれど、いつまでも逃げてはいられない。
仕事が休みの日に、覚悟を決めて検査薬を使うと、くっきり陽性の線が浮かび上がっていた。
「見間違い……なわけないよね」
何度も説明書と検査薬を見比べた。
ひとまず大切にしまっていた相澤の名刺を取り出して、個人の連絡先にメッセージを入れることにした。
さすがにいきなり学校へ連絡するなんてことはしない。
“久しぶり、●●です。単刀直入に言うと、妊娠していた。近々会って話せないかな。連絡待っています”
少しだけ緊張しながら送信ボタンを押すと、返事はその日の夜に来た。
“今仕事が終わった。●●さえよければこれから会えないか”
休日でも学校の先生は仕事があるのか。
私は直ぐさま返事をすると、こちらに来てくれるとのこと。
お風呂を済ませていた私。
正直、今から準備をして出かけるのは億劫だったから助かる。
ほどなくして家のインターフォンが鳴った。
「はい……」
「俺だ」
扉を開けると、スーツ姿の相澤がいた。
長い髪は相変わらずだけれど、1本に括っており、初めて会った時のようなモサッとした彼ではない。
「上がってもいいか」
「あ、うん」
つい見とれてしまっていた。
慌てて相澤を部屋へと通す。
「体調は大丈夫か。病院は?」
「体調は大丈夫。病院はまだ行っていない。休み明けに行こうと思っている」
「そうか……」
相澤はしばらく黙り込んだ。
アナタは今何を考えているの?
面倒なことになった。
おろすのはいつまでなら大丈夫なのか、その場合の費用はいくらか。
そもそも化学流産していれば双方に負担がないのに。
大方この辺りだろう。
しかし、私の予想は外れた。
「籍を入れよう」
「はあ?」
予想外すぎて変な声が出た。
「責任は取ると言ったからな。そっちの都合もあるし、引っ越しとかは直ぐには難しいだろうが、落ち着いたら準備をしよう。手配は俺の方でするから、●●は体を第一に考えてくれ」
「あ、はい……」
まるで台本でも読んでいるかのようにスラスラと出てきたセリフ。
そんなセリフに圧倒されて、私は返事をしてしまった。
こうして、入籍から引っ越し、出産までトントン拍子に進んでいった。
やがて避妊具を使っていないことの重大さにようやく気付き始めた頃、
「なあ、もし出来ていたら責任取るから連絡して。これ俺の名刺」
そう言って渡された名刺には雄英高校教員、相澤消太と書いてあった。
学校の……それも有名なヒーロー科のある学校。
なるほど、私が騒ぎを起こせば職がなくなる可能性があるもんね。
立派な肩書を守るために、もしできていたらおろさせるつもりか。
私は名刺を鞄のポケットに大切にしまった。
ーーーー
あれから1ヶ月。
相澤とは連絡を取っていない。
だけど、取らざるを得ないかもしれない。
なぜなら生理が来ないから。
念の為に予め買っておいた妊娠検査薬。
勇気が出なくて使えないでいたけれど、いつまでも逃げてはいられない。
仕事が休みの日に、覚悟を決めて検査薬を使うと、くっきり陽性の線が浮かび上がっていた。
「見間違い……なわけないよね」
何度も説明書と検査薬を見比べた。
ひとまず大切にしまっていた相澤の名刺を取り出して、個人の連絡先にメッセージを入れることにした。
さすがにいきなり学校へ連絡するなんてことはしない。
“久しぶり、●●です。単刀直入に言うと、妊娠していた。近々会って話せないかな。連絡待っています”
少しだけ緊張しながら送信ボタンを押すと、返事はその日の夜に来た。
“今仕事が終わった。●●さえよければこれから会えないか”
休日でも学校の先生は仕事があるのか。
私は直ぐさま返事をすると、こちらに来てくれるとのこと。
お風呂を済ませていた私。
正直、今から準備をして出かけるのは億劫だったから助かる。
ほどなくして家のインターフォンが鳴った。
「はい……」
「俺だ」
扉を開けると、スーツ姿の相澤がいた。
長い髪は相変わらずだけれど、1本に括っており、初めて会った時のようなモサッとした彼ではない。
「上がってもいいか」
「あ、うん」
つい見とれてしまっていた。
慌てて相澤を部屋へと通す。
「体調は大丈夫か。病院は?」
「体調は大丈夫。病院はまだ行っていない。休み明けに行こうと思っている」
「そうか……」
相澤はしばらく黙り込んだ。
アナタは今何を考えているの?
面倒なことになった。
おろすのはいつまでなら大丈夫なのか、その場合の費用はいくらか。
そもそも化学流産していれば双方に負担がないのに。
大方この辺りだろう。
しかし、私の予想は外れた。
「籍を入れよう」
「はあ?」
予想外すぎて変な声が出た。
「責任は取ると言ったからな。そっちの都合もあるし、引っ越しとかは直ぐには難しいだろうが、落ち着いたら準備をしよう。手配は俺の方でするから、●●は体を第一に考えてくれ」
「あ、はい……」
まるで台本でも読んでいるかのようにスラスラと出てきたセリフ。
そんなセリフに圧倒されて、私は返事をしてしまった。
こうして、入籍から引っ越し、出産までトントン拍子に進んでいった。