〜第一章〜 歪みの城へようこそ
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ここはどこ……。
何も見えない。
何も聞こえない。
ただひたすらの真っ暗闇。
夜の暗さなんて比べものにならない、“無”のような暗さだ。
ピアノは恐る恐る両手を体の前に出してみる。
だが、そこにあるはずの自分の手すら、かすかな輪郭さえも見えなかった。
足元に意識を向ける。
ちゃんと地面に立っているのだろうか。
踏みしめる感覚は曖昧で、周囲の空気さえ重い。
ふわふわと浮かぶような不安定な気分。
だけど、もしも不用意に動いてしまえば、ひょっとしたらこの先は底のない奈落なのかもしれない。
そう思うと、一歩も足を動かせなくなってしまう。
まずは状況整理。
けれど、なぜ自分がここにいるのか心当たりがまるでない。
先ほどまで必死に追手から逃れようと路地を駆け抜け、行き止まりで壁を探った。
からくりも何もなく、ただ呆然として壁にもたれかかった、その瞬間。
まるで壁に吸い込まれるような感覚があった。
気がつけば、ここに立っている。
そういえば、こんな噂話を耳にしたことがある。
時空と時空の狭間に出来た歪 み。
その中にはお城があると言われている。
一度入れば、二度と出ることはできない。
城の主に絆された者もいれば、喰われてしまった者もいるとか。
その真相は、誰も知らない。
今は城どころか、自分の存在すら心許ない。
もしここが、あの噂の“歪み”だとしたら。
ピアノは、思い切って声を挙げた。
「おーいっ!」
音を反射するものは何もなく、声は虚ろな闇の中へ静かに吸い込まれていく。
けれど、声は出る。耳も聞こえる。そして何より、呼吸ができる。
息を吸いこむとひんやりとした冷たい空気が肺に流れ込む。
……この歪みに迷い込んだ者は、二度と出られないと噂されている。
けれど、すぐに命が尽きるというわけではなさそうだ。
それだけでも、今の彼女にとっては大きな救いだった。
まだ希望は捨てられない。もしかしたら、出口があるのかもしれない。
「誰かいませんかー!」
もしかしたら他にも誰かが、と思いながら、再び声を張り上げた。
だがその声も、やはり暗闇に溶けて消えていった。
すると、
“お前は誰だ”
低く響く男性の声が、突然、頭の中に直接響いてきた。
はっきりと耳に届くのに、不思議と周囲に人の気配はない。
その声はまるで心の奥底に直接囁きかけるようだった。
「私はピアノ!ここはどこ?あなたこそ誰?すぐ近くにいるの?」
思わず怒涛の勢いで問い返すピアノ。
すると、声の主は呆れたようにぼそりと呟いたが、その小さな声もしっかりと脳内に響く。
“質問が多いな……”
一呼吸置いた後、再び脳内に明確な言葉が流れ込む。
“ここは歪みの中。俺は今、別の場所からお前の脳へ直接語りかけている”
やはりここが、噂で聞いた“歪み”の中なのだろう。
あの黒い空間も、時空と時空の間にできた歪 みだったというわけだ。
ピアノはなぜか妙に納得し、落ち着いた様子になる。
理解できたのなら、今すべきことはただ一つ。
「私をあなたのところへ連れていってくれないかしら」
この声の主が、こんな特殊な状況を理解し、脳内に直接話しかけてくる力を持っているのなら。
きっと何らかの手がかりになるはずだ。
“……”
返事はなかった。
やはり無理なのだろうか、と一瞬諦めかけたそのとき、
“良いだろう”
そう告げる声と同時に、突然眩い白い光が四方から押し寄せ、ピアノの全身を包み込んだ。
何も見えない。
何も聞こえない。
ただひたすらの真っ暗闇。
夜の暗さなんて比べものにならない、“無”のような暗さだ。
ピアノは恐る恐る両手を体の前に出してみる。
だが、そこにあるはずの自分の手すら、かすかな輪郭さえも見えなかった。
足元に意識を向ける。
ちゃんと地面に立っているのだろうか。
踏みしめる感覚は曖昧で、周囲の空気さえ重い。
ふわふわと浮かぶような不安定な気分。
だけど、もしも不用意に動いてしまえば、ひょっとしたらこの先は底のない奈落なのかもしれない。
そう思うと、一歩も足を動かせなくなってしまう。
まずは状況整理。
けれど、なぜ自分がここにいるのか心当たりがまるでない。
先ほどまで必死に追手から逃れようと路地を駆け抜け、行き止まりで壁を探った。
からくりも何もなく、ただ呆然として壁にもたれかかった、その瞬間。
まるで壁に吸い込まれるような感覚があった。
気がつけば、ここに立っている。
そういえば、こんな噂話を耳にしたことがある。
時空と時空の狭間に出来た
その中にはお城があると言われている。
一度入れば、二度と出ることはできない。
城の主に絆された者もいれば、喰われてしまった者もいるとか。
その真相は、誰も知らない。
今は城どころか、自分の存在すら心許ない。
もしここが、あの噂の“歪み”だとしたら。
ピアノは、思い切って声を挙げた。
「おーいっ!」
音を反射するものは何もなく、声は虚ろな闇の中へ静かに吸い込まれていく。
けれど、声は出る。耳も聞こえる。そして何より、呼吸ができる。
息を吸いこむとひんやりとした冷たい空気が肺に流れ込む。
……この歪みに迷い込んだ者は、二度と出られないと噂されている。
けれど、すぐに命が尽きるというわけではなさそうだ。
それだけでも、今の彼女にとっては大きな救いだった。
まだ希望は捨てられない。もしかしたら、出口があるのかもしれない。
「誰かいませんかー!」
もしかしたら他にも誰かが、と思いながら、再び声を張り上げた。
だがその声も、やはり暗闇に溶けて消えていった。
すると、
“お前は誰だ”
低く響く男性の声が、突然、頭の中に直接響いてきた。
はっきりと耳に届くのに、不思議と周囲に人の気配はない。
その声はまるで心の奥底に直接囁きかけるようだった。
「私はピアノ!ここはどこ?あなたこそ誰?すぐ近くにいるの?」
思わず怒涛の勢いで問い返すピアノ。
すると、声の主は呆れたようにぼそりと呟いたが、その小さな声もしっかりと脳内に響く。
“質問が多いな……”
一呼吸置いた後、再び脳内に明確な言葉が流れ込む。
“ここは歪みの中。俺は今、別の場所からお前の脳へ直接語りかけている”
やはりここが、噂で聞いた“歪み”の中なのだろう。
あの黒い空間も、時空と時空の間にできた
ピアノはなぜか妙に納得し、落ち着いた様子になる。
理解できたのなら、今すべきことはただ一つ。
「私をあなたのところへ連れていってくれないかしら」
この声の主が、こんな特殊な状況を理解し、脳内に直接話しかけてくる力を持っているのなら。
きっと何らかの手がかりになるはずだ。
“……”
返事はなかった。
やはり無理なのだろうか、と一瞬諦めかけたそのとき、
“良いだろう”
そう告げる声と同時に、突然眩い白い光が四方から押し寄せ、ピアノの全身を包み込んだ。
